
マーケティング研修で多くの人が悩むのが、「お客に売れるきっかけが見つからない」ということ。
実はこれは、ちょっと視点を変えるだけで、いくらでも見つかるのです。
そもそも「この商品、売れるかな?」と考える時点で、商品中心で考えています。お客の視点で考えると、まったく違った世界が見えてきます。
そのヒントがTCOという考え方。Total Cost of Ownershipの略で「お客から見た総コスト」という意味です。
お客は様々なコストを抱えてます。TCO視点で考えれば、商品の価格なんて、お客が抱えているコストのごくごく一部なのです。
たとえばB2Cで、化粧品を売るケースを考えてみましょう。
「当社の化粧品、売れるかな?」と考えるのは、商品視点の考え方です。TCOで考えると、お客は他にも様々なコストを抱えています。
【B2C (化粧品)のTCOは…】
①検索コスト
→「自分の肌にベストな化粧品ってどれだろう」と選ぶ手間がかかっています
②購入・使用時のコスト
2-1. 金銭的コスト →これは具体的にお金が発生するコストで、次のようなものがあります。
2-1-1.購入コスト →これが商品価格。全体のコストのごく一部です。
2-1-2.オペレーションコスト →スポンジやコットン、収納場所などのコスト。意外とバカになりません。
2-1-3.臨時コスト →肌荒れした際の対応や、ダメだった際の買い直しのコスト。
上記のお金以外にも、次のようなコストが発生しています。
2-2. 時間的コスト
→毎朝のメイクと、毎晩の化粧落としの時間。毎日かかるのでバカになりません。仕事で忙しい人にとっては、朝と夜の時間は貴重ですよね。
2-3. 身体的コスト
→肌への負担や刺激などの身体的な負担や、持ち運びの手間などです。
2-4. 心理的コスト
→たとえば「この化粧品で大丈夫かな」という不安もコストになりです。
2-5. 感覚的コスト
→「しみる」「べたつく」などの感じや、使い勝手などもコストです。
③サービス後のコスト
3-1.必要な追加サービスのコスト
→容器の分別や廃棄、返品の手間などもコストです。
3-2. 問題解決のコスト
→困った際の問合せの手間や、肌荒れの受診などのコストです。
こうして見ると様々なコストがかかっていることがわかります。仮に「購入コスト」以外のコストを限りなくゼロにする化粧品を提供できれば、お客は少々商品が高くても喜んで買ってくれます。
以上はB2Cの事例ですが、B2Bでも基本パターンは同じです。
【B2BのTCOは…】
①検索コスト
→企業では、社内の問題を特定して解決するために、とても手間をかけます。まず情報を収集し、原因を特定し、その問題を解決する業者の選びます。複数部署の合意も必要なので、稟議の手間もかかります。
②購入・使用時のコスト
2-1. 金銭的コスト
2-1-1.購入コスト
→こちらから提供する商品やサービスの価格ですが、これは全体コストのごく一部です。
2-1-2.オペレーションコスト
→運用維持費や担当者の人件費で、日々お金が発生します。
2-1-3.臨時コスト
→改修費や、トラブルによる遅延による機会損失などの費用が発生します。
2-2. 時間的コスト
→仕組みを導入する期間、根回しの手間、決済・検証・移行の時間などがかかります。
以上がキャッシュアウトするコストですが、他にも企業ではコストが発生しています。
2-3. 身体的コスト
→導入する際や導入後の現場の負荷増大や労働時間などです。
2-4. 心理的コスト
→導入が失敗した場合のリスクや、その際の説明責任の重さなどです。
2-5. 感覚的コスト
→新しいシステムの場合、現場の反発があったり、ユーザーインターフェイスの使いにくさなどで導入が進まないことがあります。
③サービス後のコスト
3-1.必要な追加サービスのコスト
→更新/保守費用や、社内啓蒙活動などの手間です。
3-2. 問題解決のコスト
→障害時の原因特定や、説明・謝罪に手間がかかります。
B2Cと比べてB2Bでは、こうしたコストは桁違いに大きくなります。何十億円もかかっているケースも珍しくありません。
そこで仮に「購入コスト」以外のコストを限りなくゼロにする商品やサービスを提供できれば、価格が少々高くても、お客は買ってくれます。
そのためには、どうするか?
あなたは何かモノを買う場合に、必ず無意識に「この金額を払ってもペイするかな?」と考えているはずです。
これはお客もまったく同様です。
お客も何かを購入する際に、無意識に脳内で「価値のシーソー」を作って、課題コスト(ここまで考えたTCO)と、解決コスト(購入費用)を比較しています。
こんな感じです。

左の状態は、課題コスト(痛み)よりも、解決コスト(購入費)の方が大きいので、まず買いません。
右の状態は解決コスト(購入費)よりも、課題コスト(痛み)が大きいので、売れるチャンスがあります。
こうして、お客の視点で様々なコストを考えた上で、お客の脳内にある「価値のシーソー」を理解すれば、売れるチャンスはいくらでも見つかるのです。
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