異文化理解のための10次元の考え方


グローバル化する世界で、オープンなコラボレーションの場が広がり、様々な価値観を持った人達と協業する場面が増えてきています。

国や民族の文化の違いに留まらず、部門の文化の違い、企業の文化の違い等に対する理解も必要になります。

このような背景があって、よりスムーズに異文化コミュニケーションを行うための研修に出たのですが、大変勉強になりました。

特に参考になったのは、文化を以下の10個の次元に分けて分類し、相手がどのモードなのかを理解するアプローチです。

「環境に対する認識」、「時間の認識」、「行動様式」、「コミュニケーション方法」、「空間の認識」、「権力の認識」、「個人としての振る舞い」、「競争・協業」、「構造」、「思考形態」

国を例に考えると、「競争・協業」の次元では、日本は多くの対内的には「協業的」、対外的には「競争的」です。中国も日本と同様ですが、これが米国だと一般に「競争的」になります。

時間の認識では、日本の場合、多くは「時間に正確、時間が行動を規定」し、「伝統を尊重し、かつ長期的利益を短期的利益に優先する」傾向に対し、中国は「時間は緩やか、行動が時間を規定」し、「長期的利益を尊重しつつ、より短期的利益も重視する」傾向。米国は「時間に正確で、時間が行動を規定」で、「短期利益志向」というように分類できます。

尚、上記はあくまでもそれぞれの国民性全体を理解するための目安です。言うまでもなく、米国人で協業的な人もいますし、中国人で時間に正確な人も日本人で時間にルーズな人もいます。

この10個の次元は国によって様々な組み合わせがあり、それぞれの国が独自のパターンを持っています。

我々は往々にして米国のパターンをグローバル・スタンダードと認識し勝ちですが、米国もそのような多くのパターンの一つに過ぎません。

従って、「グローバル・スタンダード」という全世界共通のものは自発的には生まれないのだということを、改めて認識した次第です。

もし「グローバル・スタンダード」というものがあるとすれば、文化によって様々なパターンがあり、どれ一つとして同じものが存在しないということを認識した上で、その多様性を尊重しつつ対処する姿勢・態度を持って、多様性の中で作り上げていくものなのではないでしょうか? 決して、どこかの一国の価値観でリードして作り上げるものではないと思います。

参照リンク:
ロー・コンテキスト社会 & ハイ・コンテキスト社会
日本と全く違う、中国の消費者