私は高校時代、太宰治をよく読んでいましたが、久し振りに「人間失格」を読んでみました。
十代後半の頃に読んだ「人間失格」と、四十代中頃で読む「人間失格」とでは、やはり受ける印象が違います。
十代後半の頃は、「何故、人間はこうなってしまうのだろう?」と思いながら、正直にいえば半分主人公を軽蔑する気持ちを感じながら、読んでいました。
四十代中頃に改めて読んでみると、「人間というのは、こういう弱い面があるのだなぁ」と、主人公の弱さと純粋さに同情を感じながら、読み進めました。
この作品の最後に、スタンド・バアのマダムと、この手記を入手した「私」の会話が出てきます。
「…..私はこないだはじめて、全部読んでみて、……」
「泣きましたか?」
「いいえ、泣くというより、……だめね、人間も、ああなっては、もう駄目ね」
何が駄目なのか、高校生の頃の私はやはり深く理解できなかったと思います。
「人間失格」を脱稿して1ヶ月後、太宰治は自ら命を絶ちますが、絶筆になった「グッドバイ」は「人間失格」とうってかわってユーモアあるれるタッチになっているのは皮肉でしょうか。
ちなみに、「グッドバイ」はこちらでも読めます。
ちょっとずれますが、私が人間云々の話を聞いてすぐに頭に浮かぶのがマーク・トゥウェインの「人間とは何か」です。これは人間機械論というテーマを扱った対話式の読み物ですが、高校時代に熱中して読んだことが記憶に新しいです。思えば、こういった割り切った考え方に早いうちに触れることができたせいか、ツライ場面でも鬱にならずになんとか乗り切れたような気がします。もし機会があれば、是非一読してみてくださいませ。
NAKAさん、マーク・トゥウェイン、私は読んでいませんが、この歳になって読むと面白そうですね。今度読む本の候補に入れておきます。ご紹介ありがとうございました。