本日(6/26)の日刊工業新聞の「現場回帰 営業編 セールスエンジニア」という記事で、製品開発の現場にアプローチする営業担当者について特集していました。
—(以下、引用)—
…最先端デバイスを扱う営業担当者は顧客の新製品開発のきっかけを提供しているのだ。
「国際競争が厳しくなる中で、顧客が欲しいのは差別化製品のアイデア。デバイスとアイデアの組み合わせが利益を生む」アイデアを持たないで営業していると価格競争に陥ることになる。
—(以上、引用)—
企業のお客様は、単に製品や技術が欲しいのではなく、その製品や技術を自社の能力を組み合わせることで、何が可能になるかを知りたいということです。
言い換えれば、記事にある通り、個別技術よりも、活用アイディアの方が優先順位が高いということですが、この視点は、企業のお客様に対してマーケティングやセールスを行っている人達にとっても、重要ですね。
従って、マーケティングやセールス担当者は、自社製品の技術を理解するのは大前提として、さらにお客様が自社製品をどのように活用して価値を生むのか、出来る限り多くの材料を持っておく必要があります。
ここで重要なのは、お客様の能力やニーズはお客様毎に異なりユニークである点です。従って私達はお客様毎に価値を考える必要があります。
言うまでもなく、個別のお客様毎にこれを考えるのは難しい課題です。
これを解決するのが「テンプレート」という考え方です。
お客様を業種や職種等のセグメントで括り、お客様固有のニーズをある範囲内に収めることで、同一セグメント内のお客様に対しては、事前にお客様セグメント毎に作成しておいたテンプレートを適用することで、より生産性高くお客様の要望に対応することが可能になります。また、セールス担当者の個人差に左右される可能性も減らすことができます。
—(以下、引用)—
できるだけ早期に、技術完成度を高め、しかも必要なものをすべて提案することが、現在のデバイス営業現場には求められる。製品サイクルが速く技術での差別化が難しいデジタル時代において、顧客は特徴ある製品を迅速に送り出すことを求めているからだ。こうした時代の要請に応えるには「顧客とのイメージの共有が必要。これを営業を介して社内の技術陣も共有し、新しい市場を創出することを意識することが絶対に不可欠」だとソニーの関は断言する。
…..営業は単に「売る」機能だけでなく、それ以上の付加価値を求められていた。それは電子部品やシステムなどBtoB(企業間)ではユーザー企業が差別化製品を生み出すため。家電製品など最終製品の分野では生活者の暮らしに豊かさを与えるため。営業とは、顧客と一体となって「価値」を創造することだ。
—(以上、引用)—
「お客様とともに市場を創出するという視点が必要」という言葉は、「市場を創出」を「イノベーションの実現」に置き換えて、「お客様とともにイノベーションを実現するという視点が必要」と読み換えると、私達ITベンダーにも当てはまります。
私達がお客様と一体となって「価値」を創造するためには、ソニーの関さんもおっしゃっている通り、営業担当者だけでなく、チームで対応する必要があります。
昨年末に「何故、ヒット商品の寡占化が進んでいるのか?」でも書きましたように、「全体最適を通じてお客様の課題を解決する」ことが求められているということですね。