マーケティング分析の手法の一つとして、「SWOT分析」があります。
SWOT分析とは、自社の置かれている環境を
S: Strength (自社の強み)
W: Weakness (自社の弱み)
O: Opportunity (自社にとっての機会)
T: Thread (自社にとっての脅威)
に分けて分析する手法です。
SWOT分析を進める上でのポイントを例を通して考えてみましょう。
ここでは、1年半程前に当ブログで書いたエントリー「競合と差別化する、バリュー・プロポジションの考え」で取り上げた街の電気屋さんのケースで考えてみます。
非常に簡略化したものですが、街の電気屋さんのSWOT分析は下記のようになるのではないでしょうか?
S: Strength (自社の強み)
一人一人のお客様のニーズを理解している
地域に密着したサービス
W: Weakness (自社の弱み)
大量仕入れによる低価格販売が出来ない
O: Opportunity (機会)
デジタル家電ブーム
富裕層の団塊の世代が引退
T: Thread (脅威)
家電量販店の出店攻勢
さて、SWOTのうちのSWは内部要因であり自分達がコントロールできる要因であるのに対して、OTは外部要因であり自分達はほとんどコントロールできない要因です。
このSWOT分析を通じて、自社の強みをいかに活かして、外部要因の機会を獲得するか、ということを考えることになります。
上記の分析から、自社の強みである「一人一人のお客様のニーズの理解」や「地域に密着したサービス」を活かして、「富裕層の団塊世代の引退」と「デジタル家電ブーム」といった外部要因の機会を獲得するために、
「引退した富裕層の団塊の世代が、デジタル家電によるデジタルライフを楽しめるように、手厚いサポートを提供する」
サービスを提供することが一つの有力な選択肢になります。
これは、先のエントリーで書いた街の電気屋さんの下記のバリュー・プロポジションとも整合性があります。
【お客様が望んでいる価値】
団塊世代の富裕層が必要としている、手厚いサポート
【他社が提供できない価値】
大量廉価販売重視の家電量販店が提供できない、お客様の自宅まで直接サポートに出向けるフットワークの良さ
【自社が提供できる価値】
ますます複雑になっていく最新のデジタル家電による生活を、お客様が十分に楽しめるように支援できるサポート力
一方で、弱みと脅威を理解することも重要です。場合によっては、ターゲットとなるお客様を絞ったり、自社の商品やサービスの定義を変えることで、弱みや脅威を減じたり、場合によっては強みに変えることを検討します。
上記の例では、「低価格販売出来ない」という自社の弱みと、「量販店の出店」という脅威を踏まえて、
「手厚いサポートに特化することで、低価格販売競争に踏み込まず、量販店との真正面の競争を避ける」
という戦略が導き出されます。
実際のビジネスではこんなに単純ではありませんが、出来る限り簡略化してみました。
SWOT分析は非常にシンプルで基本的なマーケティング手法ですが、市場と自社を把握した上で戦略を立てる上で有効なツールです。
ご存知の方には釈迦に説法かもしれませんが、頭の中で整理できている積もりでも、実際に書き出してみると色々な発見があります。また、SWOT分析は、ブレイン・ストーミングを行いチームで問題意識を共有する手段としても役立ちます。
是非活用したいですね。
SWOT分析は「自社」にとってのS/W/O/Tの要素を考えるのが基本かと思います。例えば自分が市場シェア2位のポジションだった場合に、シェア1位の企業のSWOTは何か、シェア3位以下の企業のSWOTは何か、なども合わせて考えないとまずいのかな?と考えた事がありました。
自分にとって強みと計上している点について、自分よりシェアの大きい相手のほうがもっと強かったりしたら、衝突を避けないといけないかもしれません。そういった考え方をするには、大きな紙に色々な視点から書き出していくのが良さそうですね。
yoheiさん、
コメントありがとうございました。
おっしゃる通り、同業他社のSWOTを理解することも大切ですね。その意味では、SWOTは2次元のマトリックスに、同業他社の次元を加えた3次元で考えるべきなのかもしれませんね。