岩永さんのブログで、震災時に勤務先から歩いて帰宅する場合のことが書かれています。
確かに、震災等で東京が大きな被害を受けて交通機関が長期間稼動しない際に、神奈川方面の人達が帰宅する際には、多摩川越えが大きな問題になりそうです。
ちょっと調べたところ、多摩川で二子玉川から下流方向には人間が歩いて渡れる橋が合計6本かかっています。
これらと並行して、東海道線・横須賀線・京浜東北線・京浜急行・東急東横線・東急田園都市線といった通勤の大動脈となる鉄道が何本も通っています。
ちょっと恐ろしいことですね。どの程度の影響があるのでしょうか?
私の通勤経路である田園都市線を例にとって、ちょっと試算してみました。
1.最初に、毎朝、田園都市線で東京方面に通勤・通学している人数の試算してみます
方法:朝の6時から10時までの間に二子玉川駅に到着する電車に乗っている人数をもって推定する
仮説:列車1本あたり10両編成、二子玉川に入る電車は1両あたり150人乗車していると仮定すると、列車1本で1,500人乗車していることになる
事実:6:00AM-10:00AMの4時間で二子玉川駅から渋谷に向かう列車の本数は合計82本
計算⇒人数は1,500人/本 x 82本 = 12万3千人となるつまり、毎朝4時間で、田園都市線を使って12万3千人が多摩川を渡っていることになります。
2.次に、災害時に、この12万3千人が国道246号線で多摩川を渡るのに必要な時間数を試算します
仮説:国道246号の多摩川を渡る橋は片側通行のみ確保され、人は自動車1車線と歩道を歩けると仮定する。横幅4mとして6人が横並びで歩くと仮定する。一方、人は時速1km程度で、前後50cmの間隔で歩くと仮定する。
計算1⇒1時間当たり1列で2,000人が通行できる。これが6列なので、1時間の通行人数は12,000人になる。
計算2⇒橋を渡る人数は12万3千人なので、123,000 / 12,000 = 10.25時間かかる
つまり、この12万3千人が東京方面から神奈川方面へ二子玉川の橋を渡り終わるのに半日以上かかる、ということになります。
しかし、明治神宮や鎌倉八幡宮へ初詣等で大勢が押しかけてなかなか前に進まない状況などを思い起こすと、実際には全く動かない時間も結構長いことが考えられます。従って、実際にはこの2-3倍の1日から1日半かかると考えた方がよさそうです。
このように考えると、震災での帰宅時、多摩川にかかる二子玉川周辺では、10万人規模の大渋滞が発生することが考えられます。政府としても、トイレ、食料供給、仮宿泊施設の準備等、ロジスティックスの対応策を考えておく必要がありそうです。
あまり考えたくないことですが、このような場所で、関東大震災で本所被服廠跡に避難した3万8千人を極めて短時間で焼き尽くした火炎旋風が起らないことを祈りたいですね。
上記を試算した結果、我が家では、勤務先から帰宅する交通手段がなくなった場合は、安否はケータイメール等で適宜確認した上で、1日半程度は勤務先の周辺に留まり、その後多摩川付近の渋滞が解消したのを見計らって帰宅する、という対策を立てました。(ただ、この場合もどこに留まるかを考える必要もあります)
上記の試算は田園都市線のケースですが、JRや京浜急行が密集する国道1号線や15号線では、さらに長期間かつ大規模の渋滞が予想されます。
今回は多摩川越えのケースを考えてみましたが、一度、自分の帰宅路について具体的なシミュレーションを行っておき、その結果をもって、対策を家族と話し合っておくとよいかもしれません。