本日(4/30)の日本経済新聞に、WHO(世界保健機関)の田代真人さんのインタビューが掲載されています。
田代さんはインフルエンザの専門家で、WHOの緊急委員会に参加した唯一の日本人です。WHOのインフルエンザ協力センター長も務めておられます。
恐らく田代さんは、立場上新型インフルエンザ(本エントリーでは、今回の豚インフルエンザのことを新型インフルエンザと呼びます)について一番実態を知っている日本人の一人ではないでしょうか?
フェーズ5に移行する等もあって過熱する報道とは異なり、実態を知る専門家の意見として、この話は傾聴すべきだと思います。一部、記事より引用します。
—(以下、引用)—
「ウイルスの毒性は通常の人間のインフルエンザウイルスと同程度で、弱毒性だ。このウイルスが強毒性に変異する可能性はないとみている。ただ従来のH1N1型とは違う新型インフルエンザだと認識している。既知のH1N1型に感染したことがある人でも免疫がないので、感染が広がりやすい」
―弱毒性にもかかわらず、メキシコで多数の死者が出ている。
「死因だと確認できたのは一部でしかない。未確認の感染者がかなりいて、死者数を感染者数で割った致死率は相当低いはずだ。メキシコだけで強毒性のインフルエンザが発生しているわけではない。米国などで発生しているウイルスと同一だ」
「弱毒性でも世界的な大流行になれば、世界全体で多数の死者が出る。感染した人が気付かないことがあり、かえって感染が広がりやすい。各国はWHOのフェーズに対応した計画をつくっており、WHOが『4』に上げないと、各国が様々な対策を実行に移せなかった。引き上げは妥当と思っており、私を含めて十六人の委員全員が賛成した」
「新型インフルエンザの健康被害の社会的影響は、強毒性のH5N1型の鳥インフルエンザに比べるとはるかに小さい。同じ対策を取る必要はなく、フェーズも定義にこだわらずに柔軟に考える」
「渡航制限や交通を遮断すれば、経済にマイナスの影響がある。健康被害が通常のインフルエンザと同程度なら、厳しい制限の必要はない。バランスが大事だ。すでにウイルスは拡散しており、封じ込めは無理だ」
「健康被害による経済的な損失はそれほど大きくない。むしろ過剰反応の方が怖い。企業が活動を抑制しすぎるのは問題だ。必要に応じて冷静な対策を取ってほしい」
「(H5N1型の鳥インフルエンザが変異する)リスクは全く減っていない。人から人に感染するタイプに近付いている兆しがある。鳥インフルエンザの健康被害や致死率は、今回の新型ウイルスとはけた違いだ」
「備蓄した抗インフルエンザ薬などを使い切り、鳥インフルエンザと戦う前に丸腰になってしまうことを強く懸念している。人類にとって最大の脅威はH5N1型の鳥インフルエンザであることに変わりはない」
—(以上、引用)—
注意するには超したことはありませんが、過剰反応は慎みたいものです。
こんにちは。いつも拝読しております。
私も大変賛同いたしました。日本としては年末、お盆と並び海外渡航者の数が大変多い次期なだけに、フェーズ5(しかも初めて)ということで、少々パニックが起こりかけている気がしてなりません。テレビなどのメディアは「薬局でもマスクが大変売れているそうです。」などを報道するときに同時に、毎冬のインフルエンザ流行の際の志望人数なども一緒に流して頂ければ、そんなに恐怖感にとらわれなくてすむのでは?と思いました。
米国のインフルエンザ年間死者数、36,000人
ただし、これは新型インフルエンザではなく、通常の季節性インフルエンザの実態です。
nomuraさん、
コメントをいただき、ありがとうございました。
おっしゃる通りですね。
ご指摘の点、たまたま数字が分かりましたので、先程エントリーしてみました。