「スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン」を読了しました。
この本は、実際にジョブスが活用している方法論を、他の達人の例と併せて紹介しています。大変参考になりました。
引き続き、メモ書きを兼ねて、いくつか紹介します。
■聴衆の「痛み」は何か?
—(以下、p.131から引用)—
新製品や新規サービスの説明には文脈が必要なのだ。ユーザーに「痛み」をもたらしている問題とどのような関係にあるかという文脈が。痛みを明確に出来れば、その痛みをやわらげてくれる製品やサービスが受け入れられる可能性が高くなる。
—(以上、引用)—
ここで言っている文脈とは、「プレゼンのストーリー」です。
同じことが、別のところでも語られています。
—(以下、p.134から引用)—
「なぜこれが必要なのか」—この一文だけで敵役が導入できる。ジョブスはこの質問からスタートして業界の現状を語り(ブラウザーについてでもオペレーティングシステムについてでもデジタル音楽についてでも)、解決策を提示するという次の段階のお膳立てをしてしまう。
—(以上、引用)—
「敵役」とは痛みを作っているのが誰かということ。
ライバル会社の製品だったり、業界のしがらみだったりします。
スターウォーズの帝国軍のようなものですね。
この設定をシンプルに行なうべし、と述べています。
—(以下、p.138から引用)—
ジョブスが敵役の導入に使う時間はせいぜい2-3分だ。やろうと思えば30秒でも可能。以下の質問、4つすべてに答えられる1文を作ればいいのだ。
(1)何をするのか? (2)どの問題を解決しようとしているのか? (3)ほかとはどう違うのか? (4)なぜ気にかける必要があるのか?
—(以上、引用)—
よく読むと、これはバリュープロポジションに他ならないですね。
■10分ルール
これも、大変興味深く思いました。
—(以下、p.156から引用)—
10分たつと聴衆は話を聞かなくなる。11分ではなく必ず10分で。
これは認知機能の研究で明らかとなった重要情報である。簡単にいえば、脳があきるのだ。(中略)
スティーブ・ジョブスは脳にあきる暇を与えない。30分のプレゼンテーションはデモもあるし、第2のスピーカーが登場したり、場合によっては第3のスピーカーまで登場する。ビデオクリップも登場する。…..
(中略)
10分ルールを守り、聞き手の脳を休ませるのだ。
—(以上、引用)—
一本調子の話が10分続くと、聴衆が微妙に眠くなり始めるのは、経験された方も多いのではないでしょうか?
人間の脳がそもそもそのように作られているのですね。
一方で、10分ごとに流れを変えることで聴衆にまた集中力が戻ることも、よく経験します。
眠くならないプレゼンは、この部分がよく考えられているのですね。
■簡潔シンプル
私もいつも、「戦略も話も、簡潔・シンプルであるべし」と思っているので、このことは強く賛同します。(なかなか難しいのですけどね)
—(以下、p.163から引用)—
「….. シンプルを追究した結果、個性が生まれる。そういうことなのだなとわかったとき、おもしろいなと思いました。」
複雑にしていたらiPodは終わっていたというのだ。
(中略)
「何でもスライドに書いてしまうのは、プレゼンターとして怠慢以外のなにものでもない」
—(以上、引用)—
ギッシリと数字が書いてあるスライドをよく見ます。
説明資料としてはよいかもしれませんが、プレゼン資料としては不合格ということですね。
プレゼン資料にびっしりデータを書くのは、もしかしたら、プレゼンの最中に忘れないようにするためなのかもしれません。
しかし、これはプレゼンする側の事情であって、聴く側のことは十分に配慮されているとは言えないかもしれません。
ここはシンプルなチャートで深いメッセージを述べたいですね。
—(以下、p.166から引用)—
我々は、子どもの頃からずっと、注意を集中するよりノートを取れと訓練されてきた。これがよくないのだ。本当は、今、したいことに集中して欲しいのだから。
(中略)
オペラを観ているときにノートを取る人がいないのを考えれば、言いたいことがわかるだろう。
—(以上、引用)—
オペラの例は説得力がありますね。
これで全体約400ページのやっと半分近くまでに来ました。
後半はまた後程、ご紹介します。