2012/2/6の日本経済新聞の記事「慶応大学ビジネススクール 清水勝彦と読む ウェルチ『ウィニング』」は、とても参考になりました。
—(以下、引用)—
……
実績を上げるためには「大まかな方向性を決めて、死に物狂いで実行する」というのがウェルチとゼネラル・エレクトリック(GE)の成功理由です。
それでは持続的な競争優位を獲得するための戦略とは何か?ウェルチは「あ、そうか!」(A big aha!)というアイデアだと言います。
(中略)
ここで大切なのは「横並び化を避け差異化する(decommoditization)」ことです。横並び化(commoditization)すると、ほとんどの場合は価格競争に陥り、マージンがなくなるからです。
(中略)
戦略の根幹は「あ、そうか!」をはっきりとさせることです。パワーポイントを何ページも使い、山のようなデータと時間を使わないと説明できない戦略というのは何かおかしいと思った方がいい。「あ、そうか!」がわからないから、難しい専門用語でごまかしているのです。中学生が理解できない戦略は機能しません。
—(以上、引用)—
まったく「我が意を得たり」と感じました。
本来、戦略とはシンプルなものです。
しかし大量の資料がないと説明できない戦略は、大抵の場合は失敗します。それはこの本で清水教授も述べておられるように、「機能しない」からです。
「中学生が理解できない戦略は機能しません」というのは、まさにその通りだと思います。
私は、本も本来はそのようなものだと思います。
ですので私は本を書く場合、様々なマーケティングの専門書を参考文献として読み込んでいますが、いったんそれらを消化した上で、できる限り誰にでも分かるように書くことを心がけています。
たとえば昨年11月末に上梓した「100円のコーラを1000円で売る方法」も、そのようにして書いた本です。
本書に対して、ある高校生の読者の方から「すごく遠くに感じていたマーケティングがとっても身近に感じました。自分はマーケティングを学べる大学に進学します」というご感想をいただいことがあります。
また友人の一人が本書を家に置いていたところ、中学生のお子さんがこの本に夢中になって手放さなかった、という話も聞きました。
このような感想をいただくと、とても嬉しいですね。
また現場で様々な難題と格闘なさっている経営者やマーケティング専門家の方々からも、「新たな気づきが得られた」というありがたいご感想をいただきます。
実際には本書で書いたことは、私一人で考えたものではありません。レビットやコトラーといった、マーケティングの大家が語ってきたエッセンスを、日本が抱える問題に合わせて、分かりやすく解説したものです。
本当に大切なことは、必ずしも難しいものではなく、シンプルで分かりやすいものなのだと思います。