コアコンピタンスの罠:「自分達が得意なもの」にこだわり続けると、失敗し続ける理由


「コアコンピタンス」という言葉があります。

Wikipediaの「コアコンピタンス」の説明によると、『ある企業の活動分野において「競合他社を圧倒的に上まわるレベルの能力」「競合他社に真似できない核となる能力」の事を指す。』と書かれています。

 

一方で、コアコンピタンスを誤解して捉えているケースもあります。

例えば「あの人は100人のじゃんけん合戦で一人勝ち残った。だからあの人のコアコンピタンスは『じゃんけんが強い』こと」というケース。

通常じゃんけんの勝率は1/3です。(こんなケースもありますがこれは例外)

しかし100人でじゃんけん合戦をすると必ず勝者が1人生まれます。しかしその人が次の100人のじゃんけん合戦で勝者になる可能性は1/100です。

じゃんけんが強いのはあくまで「結果」だからです。

もしかしたら世の中で一般的に「あの会社のコアコンピタンスはコレだ」と言っている中には、このように「結果」を後付け解釈したケースもあるかもしれません。

 

他の視点もあります。クレイトン・クリステンセン著『イノベーションの解』でも、コアコンピタンスのことが書かれています。

—(以下、p.201より引用)—

コアコンピタンスは、多くの経営者が用いる方法においては、危険なまでに内向き志向の概念だ。

競争力は、単に得意だと自負する業務を行うことではなく、むしろ顧客が高く評価する業務を行うことから生まれる。そして、競争基盤が変化しても競争力を保ち続けるためには、過去に栄光をもたらしたものにしがみつく代わりに、新しい物事を学習する意欲と能力を持つことが、絶対的に必要なのである

—(以上、引用)—

『得意技』に磨きをかけることも重要です。

しかし環境が変わった場合、『私たちが得意だ』と考える点にこだわるのは必ずしも正しくない、というこの指摘はとても示唆的です。

『コアコンピテンシーに磨きをかけろ』とよく言われます。しかしそれが必ずしも正しいとは限りません。過去の栄光である得意な分野にこだわると、失敗を繰り返すことも多いのです。

停滞している中での成長のチャンスは、むしろ未知の分野、つまりお客様が抱えている課題の中でその課題に対する十分な解決策が提供されていない分野を見い出し、解決策を提供することで生まれるのではないでしょうか?

 

だからこそ、リスクを取ってチャレンジすることが必要なのではないか、と思います。