ある事業が厳しい状況に陥っている。市場も伸びる兆しがなく、自社の強みも発揮できない。
そんな状況に陥った場合、どうすればよいのでしょうか?
実はあのインテルも1980年代前半に同じ状況を経験しています。
リチャード・P・イメルト著「良い戦略、悪い戦略」(日本経済新聞出版社)で、1984年頃のインテルの様子が描かれています。当時のインテルはDRAMが主力製品でしたが、日本企業との価格競争に耐えられないことがはっきりしていました。赤字を垂れ流す一方で経営陣はどうすべきか決断できず、果てしない議論を続けていました。
本書ではインテルのCEOだったグローヴが、1985年のことを回想した様子が書かれています。
—(以下、p.90から引用)—
その年のある日、グローヴはインテルの会長であるゴードン・ムーアに憂鬱な質問を発したのだ。『もしわれわれが更迭され、取締役会が新しいCEOを連れてきたとしたら、その男はまず何をすると思いますか』。ムーアは即答した。『メモリー事業から撤退するだろう』。グローブはしばしこの言葉を噛みしめ、それからおもむろに言った。『ではなぜわれわれが、クビになったつもりになって、それをやらないんです?』
—(以下、引用)—
その後、インテルはDRAMから撤退し、CPUに経営資源を集中して大成功を収めたことは皆様ご存じの通りです。
仮に困難な道であっても、現在の方法に問題があるならば、修正を図る。
常にそのことが求められているのでしょうね。