売れない理由を分析してみると、対策が色々と出てきます。
■強い営業がいない
→だから、営業力を強化する
■強い商品がない
→だから、顧客ニーズを把握した商品開発が急務
■部門間のコミュニケーションがバラバラ
→だから、他社でうまく行っている事例を取り込んで組織横断チームを作ろう
これらは、事実に基づいた論理的な分析と言えるでしょうか?
例えば
「問題の本質は売れていないことだ。だから営業戦力を増強する」
という対策を実行したとします。
でも多くの場合、成果が出ません。そこでさらに営業戦力を増強する。そしてますます売れなくなる。
グルグルと同じループを回っているのですよね。これは「悪魔のループ」と名付けてもいいかもしれません。
なぜこんなことが起こるのでしょうか?
さきの「問題の本質は売れていないことだ→だから営業戦力を増強する」は、本質的にはこのようなロジックになっています。
「売れていないのは、売っていないからだ。だから売るのだ」
このロジックの中には、どこにも分析がありません。精神論だけです。
経済が成長していたバブル前は、これでもなんとかなりました。営業力を強化すれば、成長した市場を刈り取ることが出来たからです。しかし今や経済は成長していません。さらに他社も営業力を強化しています。営業力強化の効率は落ちる一方です。
そもそも売れていない理由は、顧客サポート悪化が原因で顧客満足度が低下し、徐々に数年かけて顧客離反を招いているのかもしれません。こんな状況で顧客サポート要員を営業に回すと、….結果は明らかで、さらに顧客離反を招き長期低迷に拍車をかけます。
不十分な原因分析が、「悪魔のループ」を生み出しているのです。
これも同じです。
「顧客ニーズに応えられないのは、ニーズを捉えた商品がないからだ。だからニーズを捉えた商品を作る」
このロジックの中にも、どこにも分析がありません。本来の分析は、ニーズに応えられていないのは何故かを考えるべきです。もしかしたら組織構造や、個人の評価指標に問題があるのかもしれません。その問題を解決せずに「ニーズを捉えた商品を作ろう」と号令をかけても、原因は残ったままなので、ニーズを捉えた商品は決して生まれません。
発生している現象に対応するだけでは、恐らく永遠に問題は解決しないのですよね。
対症療法ではなく、根本療法を考えるべきです。
そして「なぜ」を5回繰り返せば、根本原因に辿り着き、自責になります。
例えば、身体の調子が悪いのは、なぜか?
なぜ1「肩が凝っているから」…ここでマッサージに行っても、必ず再発します。対症療法ですね。
なぜ2「なぜ肩が凝っているのか」→「筋肉が萎縮しているから」
なぜ3「なぜ筋肉が萎縮しているのか?」→「血行が悪いから」
なぜ4「なぜ血行が悪いのか?」→「身体を動かしていないから」
なぜ5「なぜ身体を動かしていないのか?」→「疲れが溜まって週末に運動していないから」
ここまで来ると、自責の根本原因にたどり着きます。
そして「週末に運動をする」という根本療法を行うことになります。
ビジネスで考えると、例えば、業績が悪いのは、なぜか?
なぜ1「売上が減っているから」…ここで営業力強化を図るのは対症療法で、解決しません。
なぜ2「なぜ売上が減るのか?」→「案件数が減少し、値引きが多いから」
なぜ3「なぜ案件が減少し、値引きが多いのか?」→「販売期間長期化と価格競争」
なぜ4「なぜ販売期間長期化と価格競争なのか?」→「営業が優先的に要望が強い顧客を訪問しているから」
なぜ5「なぜ営業が優先的に要望が強い顧客を訪問しているのか?」→「会社が顧客を選んでいないから」
ここまで来ると、自責の根本原因にたどり着きます。
そして「顧客セグメンテーションを行う」という根本療法を行うことになります。
「悪魔のループ」を脱するヒントは、昔から言われている「なぜ5回」を行い、自責の根本原因を突き止めることにあるのです。
他責にしている間は、問題は解決できません。
徹底的に考えた末に自責になるからこそ、自分自身が問題を解決できるのです。