結果を原因と思ってしまう危険…フリーク・ヴァーミューレン著「ヤバい経営学」より


フリーク・ヴァーミューレン著「ヤバい経営学」を読んでいます。

本書では、ビジネス界では一般的に常識と思われがちなことが、実は間違っていることを様々な観点で指摘しています。

大学の研究者が書いているので、厳格な研究と立証できるだけの事実にきちんと基づいて検証されています。

 

たとえば、「企業はコアビジネスに集中すべきだ」という意見があります。

一見正しいように見えますが、本書では次のように述べています。

—(以下、p.181から引用)—

低迷企業は、もっと儲かるビジネスを探そうとして、多角化することが多い。つまり、一つの事業に集中していないのは、業績低迷の原因ではなく結果なのだ。それに対して、うまくいっている企業では、成功しているビジネスに集中するのは一般的な戦略だ。先ほどと同様に、一つの事業への集中は成功の原因ではなく、結果なのだ。

—(以上、引用)—-

確かに好業績の企業は稼ぎ頭の製品を持っています。

しかしその製品が売れ筋で、売上が突出しているから、結果として稼ぎ頭になっているのですよね。そしてさらに企業はその商品に経営資源を集中する。そしてさらにその商品の売上が伸びる。そして他商品は経営資源が十分に行き渡らずに売上は伸び悩む。

その結果、売れ筋製品が売上の大部分を占める。

この結果を見て、「コアビジネスに集中することが大切だ」と言っても、それは結果であって原因でないということです。

本書では以下のように続けています。

—(以下、p.182から引用)—

ここで言いたいのは、「関係があることと、因果関係があることは異なる」ということだ。….むしろ重要なのは、そういう成功企業の特徴をただ真似ることは、逆に会社を成功から遠ざけてしまう可能性がある、ということだ。

—(以上、引用)—

世の中にある様々な現象から、推論してロジックを立てると、確かにこのようになりがちです。

 

たとえば私が最近よく感じているのは「差別化」です。

よく「生き残るためには、差別化が重要」と言われます。そして、いかに差別化するかを考えます。

しかし差別化は、顧客ニーズを真剣に深掘りして突き詰めた行動の結果なのではないでしょうか?

顧客ニーズをあまり考えずに、一生懸命差別化しようと考えても、結局差別化できないと思います。

ここでも、差別化は結果であり、原因ではないのです。

 

原因と結果を見極めるだけでも、様々な本質が見えてくるように思います。