一昨日のブログ、昨日のブログに続き、日本経済新聞社主催「第15回 世界経営者会議」の内容をご紹介します。
今回は2日目の講演から、ゼネラル・エレクトリック会長兼CEO ジェフリー・イメルト氏のお話しをご紹介します。
非常に明確なビジョンと戦略を持っておられることを、改めて認識しました。
自分への備忘録も兼ねて、雑記的に書いていますが、ご了承下さい。
・GEの基盤は技術。GEはインフラの会社なのだ。65%の受注が米国外からあるグローバルな企業だ。そして成長がビジネスでは重要だ。
・競争力を形成する上で、重要なことが4つあると考えている。
・一つ目は、天然ガス(シェールガス)。安価なガスの時代がやってきて、他燃料を置き換える。
・二つ目は、インダストリー・インターネット。インフラとして設置されているGE製品毎に30〜40個のセンサーが取り付けられ、データを分析し、価値を生み出す。例えば、ジェットエンジンのセンサーデータにより燃費を数%改善すると大きな価値を生み出す。物理的な世界と、アナリティカルな世界が一緒になる時代なのだ。事業会社と分析をする会社が別々だった時代は、終わる。
・三つ目は、高度な製造業。低コストの人件費を求める時代の終焉だ。今は、例えばサプライチェーンの変革のように、生産プロセスや材料がより重要なのだ。
・四つ目は、徹底した現地化。迅速に新地域でビジネスができることが必要だ。現地化をしない限り、ビジネスはできない。サプライチェーンの現地化も必要だ。
・現在、GEの歴史の中で、最も深い文化変革が起こっている。シンプル化の動きだ。小さなスタートアップ企業は、顧客が全てであり、全社で情報を共有しており、本社組織もない。シンプルだ。彼らの強みをGEでも持ちたいし、GEを筋肉質にしたい。管理をなくして、本社を軽くし、シェアード・サービスを展開する。そしてグローバルに分散したリーダーシップを持たせる。プロセスの数を減らし、ITをシンプルにし、問題を素早く解決していく。シンプル化を推進していくのだ。
・「米国民は日本をどのように認識しているか?」という質問に対して….。日本のことが好きだ。私は安倍首相を評価している。まず財政施策など、手を付けやすいことから先に始めている。そしてモメンタム(弾み)を作り、より大きな課題に挑戦している。
・「福島原発に絡んで、原発ビジネスについてはどうか?」という質問に対して….。三つある。一つ目は、福島原発問題については、日本の人達をご支援したい、ということ。二つ目は、短期的には低コストの代替エネルギー開発を考えていきたい。実際、他の代替手段も生まれている。三つ目は、長期的には2030-2050年頃に原子力がなくなるということはない、と思っている。原発も安全でより低コストなものになるだろう。ただし、世界も変わっているのでこの先はわからないかもしれない。例えば10年前にシェールガス革命は誰も想像できなかった。
・ソフトウェアは重要。今は、GEの全ての事業会社でソフトウェアは重要になっており、サービスの中に埋め込んでいる。導入機器からのデータを分析することが、ビジネスになるのだ。将来的には、GEをソフトウェア会社にしたいと考えている。IBMはデータベースをビジネスにしているが、GEもデータベースをビジネスにしていく。領域によってはIBMがライバルになる、ということだ。自分がGEに入社した頃は米国内で売上80%だった。今は米国内は35%だ。だから境界を設けて「できる」「できない」と考えてはいけない。市場(顧客)が大切であり、市場の動きを理解することが大切だ。
・「地域戦略で重要と考えているのは?」という質問に対して….。重要なのは地域ではなく、国だ。韓国、中国、日本はどれも違う。マクロではなく、ミクロで考えることが重要だし、全てのところにチャンスがある。例えば、ガスタービンは米国よりもアルジェリアの方が売れる。ナイジェリアでは40Gwの電力不足がありGEにとっては大きなチャンスだ。もちろん透明性の観点でリスクもある。正しいリスクを取り、見返りを見極めることが必要だ。
・「日本のGEビジネスのメインは何か?」という質問に対して….。医療だ。優れたエンジニアもいる。新しいMRIを日本で最初に始めた。日本は材料科学が素晴らしい。テクニカルパートナーは日本で持つべきだ。GEとしても活用していきたい。
・「あなたは5年前に『リセット』という言葉を使った。今はどの程度『リセット』されていると考えているか?」という質問に対して….。金融危機を乗り越えて、世界は変わった。今はリセットされた経済だ。今後どうするかは、新しい視点で考えなければならない。
・「リーダーに必要なことは何か?」という質問に対して….。リーダーに必要なことは、いかに早く学ぶか、だ。かつレジリエンシー(トラブルがあっても復旧・回復する力)が必要だ。いい時代でなくても、乗り越えていく。賢いだけでなく、状況が明確でないときでも、モノを見通すことが必要だ。
残りの2日目の様子は、また後日ご紹介します。