強い企業は、企業独自の明確な強みを持っています。
たとえばユニチャームの強みは
「不織布の製造加工技術により、清潔・衛生・新鮮な快適環境を提供できること」
この強みは、コアとなる技術と、顧客の価値に分けられています。
ユニチャームのケースでは、
「不織布の製造加工技術」がコアとなる技術、「清潔・衛生・新鮮な快適環境を提供できること」が顧客の価値です。
他社の例で言えば、1980-2000年代のソニーでは、コアとなる技術は「小型化」で、顧客の価値は「携帯性」、それを実現した製品はウォークマン、ハンディカム、PSPなどです。
1970年代のホンダでは、コアとなる技術は「エンジン技術(CVCC)」、顧客の価値は「省エネ、排ガス規制対応」、実現した製品は初代シビック。
フェデックスの場合は、コアとなる技術は「物流管理」、顧客の価値は「定時配達」、実現したサービスは「宅配便」。
このように、「強み」は「コア技術」と「顧客の価値」の組合せで考えるとわかりやすいのですが、それが本当に強みかどうかを判断するにはどうすればよいのでしょうか?
それはVRIOというフレームワークを使うとわかります。(Value、Rarity、Inimitability、Organizationの頭文字を取ったものです)
1.顧客にとって価値があるか? (Value)
2.希少か? (Rarity)
3.真似されにくいか? (Inimitability)
4.組織体制は適切か? (Organization)
で、強みをチェックするのですね。
全て「×」:これは「弱み」です。
1だけ「〇」で他が「×」:顧客にとって意味がある「強み」ですが、他社と差別化できていません。
1と2が「〇」で他が「×」:固有の強みで差別化できますが、すぐに他社に追いつかれます。
1,2,3が「〇」:持続可能で固有の強みになります。
ただ、4が「×」、つまり組織的な取り組みがないと、限定的な強みに留まります。たとえばゼロックスはPARCで革新的技術を生み出しましたが、それを製品化し販売する組織構造がありませんでした。結局、製品化したのは他社でした。
1,2,3,4が全て「〇」:非常に大きな強みになります。たとえばアマゾンは、大規模ネット販売という独自の強みを組織全体で活かし、さらに継続的に利益を削って大規模投資を続けることで差別化を続けています。
バリュープロポジションを考える出発点は、自社の強みを徹底的に考え抜くことです。
私自身も経験がありますが、実は社内にいると「自社の強み」は当たり前になってしまい、自分たちは過小評価してしまうことも多いのです。(逆に過大評価してしまうこともなきにしもあらずです)
一方で、既に世の中にある考え方を活用してみると、答えが見つかることも多いのですね。
ちなみに、このVRIOという考え方は、この本のp.250-290に書かれています。