メールのコミュニケーションを改善すれば、仕事力を上げられる。そこですぐにでも始められる方法


昨日、ある企業様の社内報向けインタビュー取材でこんなご質問をいただきました。

「新入社員などの若い人向けに、仕事で成果を挙げるために今日から行えることがあったら教えて下さい」

そこでこんなご提案をしました。

 

仕事で成果を挙げる上での大きな障害は、トラブルです。

トラブルの多くはコミュニケーションが十分に取れていないことが原因で発生します。

ですから相手に伝えるべきことを確実に伝えれば、トラブルを回避でき、仕事の生産性は大きく向上します。

そして現代ではメール(あるいは最近ではチャット)がコミュニケーションの主な手段です。

つまり、これらのコミュニケーションを改善すれば、仕事力は大きく向上します。

 

ここで気をつけるべきは、相手へ確実に伝えることですが、よくある大きな勘違いがあります。

「相手へ確実に伝えよう」と思って、長いメールを送ってしまうことです。

詳細情報も、確かに重要なこともあります。

しかし多くの人たちが一日何十通・何百通ものメールをやり取りしています。

もしご自分が膨大な文章のメールを受け取ったら、ちょっと困りますよね。それは相手も同じです。

ほとんどのビジネスメールで伝えるべき情報は、「要はxxxx」という情報。

理想的を言えば、「5秒程度で相手が理解でき、すぐに返信できる」メールです。

 

「そう言うけど、このブログは長文じゃないか」と思われるかもしれませんね。

当ブログは一般向けに書いており、背景説明も必要ですので文字数が増えています。

一方でビジネスでのメールのやり取りは、相手とはある程度の情報共有がされています。相手がどの程度理解しているかを把握した上で、メールを短くすることは可能なのです。

 

これには私の原体験があります。

日本IBM社員だった頃、社長や役員がやり取りしているメールの内容を目にする機会がありました。

メールで活発に議論をして、その中で意思決定し合意形成がされていきます。

その社長や役員が書いているメールが1行なのです。

こんな感じです。

「xxxさん、私はxxxは、xxxxが課題だと思います。xxxxを検討しては?」

「当事業部ではxxxxという課題があります。対策として、xxxxしています」

「xxxさん、同じ意見です。当部門ではxxxxしています」

「了解。来週の役員会冒頭で会話の上、早速始めましょう」

見事に1行だけで会話がされていました。

 

「それなら、LINEやFacebookメッセージのようなチャットなら問題ないんじゃないか?」と思われるかも知れませんね。

実際、上記のやり取りもLINEのようです。

ただ、ありがちなチャットとは大きな違いがあります。

ありがちなチャットは、こんな感じのものが多いのではないでしょうか?

「ちょっといいですか?」

「はい。なんでしょう」

「この前の会議で議論になったことなんですけど」

「あ、先週のね」

「まだ色々とハラに落ちていなくて……」

「え?何が気になっているの?」

「実は、………」

確かに1行になっていますが、その1行にロジックもアクションもありません。とは言え仕事上、このような話も必要な場合があります。その場合は、チャットではなくむしろ直接会って話をする方がいいかもしれませんね。

一方で先に紹介した例では1メッセージに論拠とロジック、アクションが入っています。

だから必要最小限のやり取りで効率よくコミュニケーションが進むのです。

これはメールでもチャットでも、本質的に同じ重要な点です。

チャットは相手の時間を奪いますのでなおのこと、1回のやり取り(かつできれば1行)で済ませるようにしたいですね。

 

 

とは言え、1行でまとめるのはなかなか大変です。

そこで、3行程度にメールをまとめることを目標してはいかがでしょうか?

最近ではチャットでビジネスコミュニケーションをするケースも多いですが、同じです。

 

しかし実は、メールで3行程度にまとめるのも至難の業です。

そこで難しい方は、当面の目標として、メールでは画面1ページ(ページ送りなし)でまとめることを目標にしてもいいと思います。(チャットでこのようなメッセージを送るのは避けたいですね)

 

「たかがメール」と思いがちですが、これは深い問題をはらんでいます。

短いメールにまとめるには、自分の考えを整理し、さらに相手の理解度に対する洞察が必要になるからです。

短すぎて「何を言っているかわからない」というメールになっても、本末転倒です。

言い換えれば、メールで要点をロジカルかつ簡潔にまとめられないのは、実は考えが整理できておらず、相手に対する理解度も浅いのが原因なのです。

 

もう一つ、メールだけで相手の意思確認ができない場合は、必ず別の手段で相手の意思確認することです。

特に若い方は「メールで返事がないのは、承諾の意味」と考える傾向があるようです。

しかしビジネスでは、返事するべきメールに返事をしていないのは、見落としている可能性が高いのです。

 

「メールでは十分に伝わりそうもないなぁ」と思う内容の場合は、やはりメールを送っても伝わりません。

「メールでは十分に伝わりそうもないなぁ」と思ったら、電話。

「電話では十分に伝わりそうもないなぁ」と思ったら、直接会うなどして、コミュニケーション手段を使い分けることも重要です。

これを3年間続けるだけでも、仕事力は向上します。

 

「メールを送るほどではないけど、すぐ確認したい」という場合は、チャットも便利です。

一方で相手の仕事を中断するという特性もあります。緊急性がある場合や、相手がチャットを多用している場合などはとても有効ですね。