米国社会では、日本社会では暗黙知として既に共有していることを、後になって新しい発見したかのように取り上げることが多いような気がします。
本日(7/26)の日本経済新聞夕刊「ウォール街ラウンドアップ 短期利益主義に批判」という記事で、その一例が紹介されていました。
この記事では、全米アナリスト協会と「企業倫理に関するビジネス・ラウンドテーブル」が発表した「短期利益主義の打破」というレポートが紹介されています。米国企業で慣例となっている四半期毎業績予想の弊害を説く内容で、四半期予想が株価の変動率を高めている、と指摘しているとのこと。
このレポートは読んでいないので安易なことは言えませんが、記事の内容を見る限り、四半期毎予想がよいことばかりではない、という結論は日本人は以前より皆なんとなく感じていたことだと思います。
日本では、会社は短期の利益を追いかけるべきではなく、長期的な視野を持って発展を考えていくべき、という感覚を比較的共有しているのではないでしょうか?
最近、「米国社会はロー・コンテキスト社会であるのに対して、日本社会はハイ・コンテキスト社会である」という話を聞きましたが、これが原因の一つかもしれません。前者はコミュニケーションが明示的に行われるのに対して、後者は暗黙知を共有した上でコミュニケーションが行われます。
つまり、米国社会では一つの事象に対するコンテキストの共有に時間がかかるのに対して、日本ではある程度暗黙知が共有された状態であれば一つの事象に対するコンテキストの共有は簡単に行える、ということのように思います。
一方で、四半期毎業績予想の弊害は日本人は何となく分かっていましたが、明示的に説明してきていなかったように思います。ロー・コンテキスト社会だからこそ、明示的・論理的に説明できたのかもしれません。
ロー・コンテキストとハイ・コンテキストのどちらが正しくてどちらが劣っている、ということではないと思います。状況によってロー・コンテキストが合う場合もありますし、ハイ・コンテキストが優れている場合もあります。
お互いのよさを理解し、よいところは謙虚に取り入れることが必要なのでしょうね。
永井さん、こんにちは。
>米国社会では、日本社会では暗黙知として既に共有していることを、後になって新しい発見したかのように取り上げることが多いような気がします。
ナレッジマネジメントも、サプライチェーンマネジメント(リーンプロダクション)も、元はと言えば、日本企業の観察・研究から生まれたものですものね。コア・コンピタンスもそうでした。
ある時期を切り出してみれば、おそらく、日本企業で行われていること(多くの場合は一部の日本企業)が、米国企業よりも進んでいるということは、かなりあるように思います。(自分の場合、経験が限られているので他国の企業のことはあまり知りません)
経験経済の文脈で言われている価値も、日本では割と当たり前のことだったりします。
けれども日本企業は多くの場合、それを世界的な視点で改めて評価することができずに、自分たちの間では「意外とつまらないもののように」思っているケースが多いように思います。「なんだそんなもの、当たり前じゃん」的な卑下した受け止め方が横行する傾向があります。
その点、米国の経営学的な視点は、よいものをきっちりと説明し、体系化し、どの企業でも導入可能なように、マニュアルまで作って(場合によってはITの手当てをして)、朴訥に実直にアプローチしてくるので、長期的に見れば競争に勝ちやすいということがあると思います。
日本人の場合、手元にあるものをもっと評価してもよいように思います。。。そこに、ハイ・コンテキストの弊害が忍び寄ってくる。。。(^^;
今泉さん、
コメントをいただきありがとうございます。
確かに体系化するのは米国は得意ですね。
ところで、某所でハイコンテキスト人間か、ローコンテキスト人間かを診断するテストを受けたのですが、私はローコンテキスト人間でした。(^^;
私も元々はハイコンテキスト人間だったはずなので(その後、会社に入ってローコンテキスト人間になるように訓練されたのでしょうね)、恐らくスキル開発で、ある程度体系化する力を身につけることも可能なような気がします。
日本人がこのようなスキルを身につけて、身の回りに当たり前のようにあるモノを再評価して体系化していくと、非常に強いかもしれませんね。
永井さん、
Googleで、「ハイコンテキスト」「ローコンテキスト」の2語をキーワードとして検索すると、この投稿がトップに出ますね。さすがGoogle。コンテキスト解析能力がすごいです。
弊ブログでこの投稿を引用させていただきました。
http://blogs.itmedia.co.jp/serial/2006/06/post_2b17.html#c574242
今泉さん、
ありがとうございます。確かにGoogleで検索するとトップですね。….マイナーな単語なのでしょうか? (^^;
今泉さんのブログで引用いただき、ありがとうございました。