昨日3月21日の朝カフェ次世代研究会は、ソフトバンクで社長室長として孫正義社長を支えてこられた三木雄信さんにご登壇いただき「孫正義に学ぶ不可能なことを可能にする方法」と題して講演をいただきました。
坂本さんのブログ、大木さんのブログでもご紹介いただいています。
三木さんは、ソフトバンク時代からの同僚だった大木さんのご紹介でした。
私は三木さんにお目にかかるのは今回が初めてでしたが、パワーと独特の雰囲気のある方でした。
三木さんの話しが始まると、会場全体が話しに引き込まれます。不可能と思われる難題を矢継ぎ早に孫さんから突き付けられて、その幾多の修羅場をくぐり抜けてきた方だけが持つ凄みを感じました。
三木さんのお話しをピックアップしてみました。
■Sprintを買収すると、ソフトバンクは年間売上6兆円になるが、ソフトバンクの本質はベンチャーである。常にベンチャーマインドを持っている
■ベンチャーはそもそも経営資源がない。ソフトバンクはITバブル崩壊時、通信技術を社内で誰も知っている人がいない中でいきなり「ADSL事業をやれ」と言われた。強みと弱みを分析する通常のSWOT分析とは全く異なる世界
■ベンチャーは業界構造が固まっているところでは勝負してはいけない。将来の確率分布が分からない不確実な分野で挑戦しなければならない。そして挑戦し続けないといけない
■実際、ソフトバンクは通信業界に何回も挑戦し続けて今がある。その元には「遠くを見る」(=無線インターネットの実現)がある。挑戦し続けることが大事。
■不確実なものに挑戦し続けること。当然失敗も多いが、挑戦し続けることで成功も近づく
■ソフトバンクはやりたいことのためにひたすら外部資源を調達してきた。ベースがなかったADSLの時とは異なり、日本テレコム買収時には既にADSLユーザー500万人がいた。これを日本テレコム買収で倍増させシナジーを生むストーリーで金融機関からお金を調達した。次のボーダーフォンも同じ。
■複利で回すのすごさを孫さんはよく分かっている。成長が年率4%なら二倍になるのに18年。年率5%なら15年。年率25%なら3年。
■だから毎年積み重なっていくプラットフォームになる事業に取り組んでいる。積み重ねがない事業は難しい。(例えば当たり外れの大きいゲーム) プラットフォームで積み重なる世界で、複利の効果を目指すこと。=土俵を決めること。そしてナンバー1になること。
■人のやらない事業だから(=嫌がる事業だから)、ナンバー1になれる
■日本で一人しかやったことがない事業なら、ナンバーワンになって食っていける
■そして最初は入りやすいところから入る。Appleも最初は分かりやすいiPodから入っている。シンプルで入りやすい場所から入る。そしてわらしべ長者を目指す。(one red paper clip project: 赤いペーパークリップ→ボールペン→ペーパーナイフ→ドアノブ→発電機…..→家になった)
■これは定価がない世界である。お金に換えていったら、クリップは絶対に家にならない。一番高く買いたい人と、一番安く売りたい人を見つける。一般的な市場取引は異なる世界である
■孫さんはよく「鮭の卵理論」と言う。鮭は1000個卵を産んで2匹が成魚になる。ソフトバンクも1000社くらい創業した。当たったのは20社くらい。それぞれの会社の掛け金は少ない。数億円程度。勝ち続けるのは、安く沢山クジを引くからである。沢山try & errorする。その掛け金を安くする交渉をする
■さらに自己組織化を目指す。いくつかの簡単なルール(外から資源調達など)で、あたかも統制があるかのように動くようにする。ソフトバンクは中と外の資源の区別がない。自然と回っていく組織を作っていく
■さらにリスク管理を徹底的にやっている。ボーダーフォン買収の場合も、買収金額を証券化することでリスクを徹底的に抑えた
お話しをお伺いして、分かっている積もりでいたソフトバンクの凄さについて理解がまだまだ不十分だったことを痛感しました。
しかしその方法は、よくよく聞いてみると極めて理にかなった方法。すごく勉強になりました。
三木さん、ありがとうございました!
Twitterは大木さんにTogetterでまとめていただきました。Togetterへのリンク
次回は4/17(水)、あの「ビフォー・アフター」にも出演された建築家の日高保さんに「伝統に学び風土が作る、心地よい住まいづくりの話」と題してご講演をいただきます。
今までとは一味違う建築の世界のお話し、とても楽しみです。
なお、4月から朝カフェは隔月開催になります。ご了承下さい。
引き続き、よろしくお願いいたします。