なぜ目の前に商品があるのに、その場で買おうとしないのか?—スマホが店舗まで入り込んだ今こそ、「リアル店舗の価値」を考える時期


消費者庁の「消費者意識基本調査」(2012年度)で、こんなデータがあります。(n=6,690)

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つまり、

■現物を見てから買う人が70%
■同じ店舗を利用する人は2/3

ということです。

 

このデータを見る限り、実物を確認できて、しかも実際に売っているリアル店舗は有利なはずです。

しかし一方で、このようにおっしゃる方もおられます。(例えば、書店)

「お客さんは、店で商品の現物を確認して、アマゾンで購入する。困ったものだ」

本来、お客さんは既に店舗で商品を手にしているので、本来はその場で買った方が、すぐに手にして読めるはず。

しかしわざわざ店舗で買わずに、スマホや自宅のPCを使ってネットで商品を買っているのです。しかも到着は1-2日後になります。

その場で現物を見たのに、なぜお客さんはわざわざ一手間も二手間もかけて、ネットで購入するのでしょうか?

 

それはネット店舗の方が、「商品を買いたい」と思わせる何らかの価値を、リアル店舗よりも多く持っているからなのかもしれません。言い換えると、「消費者にとって、リアル店舗は、魅力がない」のです。

それは単なる利便性やポイント制度などではなく、総合的な顧客体験や信頼感といったものかもしれません。

 

例えば私は、アマゾンで購入したパソコン関連商品に不具合が発生し、商品を交換したことがあります。

コールセンターに電話したところ、応対はとても丁寧でしたし、送料もアマゾン持ちで、非常にスムーズに交換できました。

他のネット店舗ではこのようにはいきませんでした。これは私がアマゾンに信頼感を持った大きなきっかけになりました。

 

この体験から私が考えたことがあります。

恐らくアマゾンは、顧客とアマゾンが直に接するコンタクトポイントは、絶好の「アマゾン体験」を提供できる場と考え、採算度外視でサービスレベルを上げているのかもしれません。

トランザクション単位で考えるとコスト割れしているでしょう。しかしLTV(顧客生涯価値)の観点で考えると大きなプラスになっているはずです。実際私も、パソコン関連商品はアマゾンで買うことが多くなりました。

 

しかし考えてみると、リアル店舗では直接お客さんとふれあう場面ばかりです。

実際、私の近所のスターバックスは店員の方々の挨拶は徹底していますし、お客さんと親密な関係を築こうとなさっています。この店は平日の昼であってもいつも行列が出来ています。

しかしリアル店舗は、店員の方がホスピタリティあふれる店ばかりか、というと、必ずもそうではないように感じます。

当たり前のことですが、

・挨拶の徹底

・お客様との緊密な関係構築

というあたりがまずは出発点であり、魔法の解決策はないのかもしれません。

 

ネット店舗にはネット店舗ならではの、リアル店舗にはリアル店舗ならではの「価値」があります。しかしその「価値」は不変ではありません。世の中の変化に合わせて、常に進化し続ける必要があります。

スマホでリアル店舗にもネットが入り始めている今だからこそ、「リアル店舗の価値とは何か」を、改めて考え直すタイミングなのかもしれません。