『患者からの「友達リクエスト」の承認は控えるべき』という、英国医師会のソーシャルメディア利用の手引きを、考察してみる


日経メディカルオンラインが、英国医師会(BMA)が公開した「医師と医学生のためのソーシャルメディア利用の手引き」を紹介しています。

英国医師会が医師と医学生のためのソーシャルメディア利用の手引きを発表
医師は患者からの「友達リクエスト」の承認は控えるべき

英国医師会(BMA)は、「ソーシャルメディアの利用は、医師や医学生に様々な利益をもたらしているが、一方で、守秘義務違反、名誉毀損罪に問われるリスクや、医学生としての立場や医師としての職を失う危険性もはらんでいる」としています。

具体的には、下記のような内容です。(詳しくは記事をご参照下さい。要ユーザー登録です)

—(以下、項目のみ抜粋)–

#1 ソーシャルメディアは個人の公的な面と私的な面の境界を曖昧にする

#2 医師と医学生はプライバシー設定を保守的にすべきだが、それでもすべての情報が保護されるわけではない

#3 医師と医学生は、ウェブ上でも、患者の秘密を漏らしてはならないという倫理的、法的義務を負っている

#4 特定の患者または同僚に関する個人的な、または名誉を傷つけるコメントをフォーラムなどで公開してはならない

#5 医師や医学生はウェブ上でも利益相反開示の義務を負う

#6 医師と医学生は、Facebookなどにおいて現在の患者または過去の患者から「友達リクエスト」がきても、承認は控えるべき

#7 ウェブの中で自分がどのような印象を相手に与えるかを意識し、それが自分の立場に与える影響を推定しなければならない

–(以上、抜粋)—

ソーシャルメディアで様々な立場にある人達がまったく対等にコミュニケーションすることは素晴らしいことだと思います。

一方で確かに、公の立場と個人の立場というのもある訳で。

ソーシャルメディア上で、「公」と「個人」を、どのように捉えるべきかを考える上で、参考になると思います。取引先との関係、教師と生徒の関係、等、様々な分野でも応用が利きそうですね。

ちなみに、当ブログでも何回か紹介していますが、IBMもIBM社員がソーシャルメディアを活用する際のガイドライン「IBM ソーシャル・コンピューティングのガイドライン」を設定しており、一般公開しております。

英国医師会の手引きのうち、#1/#2/#3/#4/#5/#7の部分はIBMのソーシャル・コンピューティングのガイドラインでも書かれています。しかしIBMのガイドラインでは、「友達リクエストは承認を控えるべき」というような強制力までは持たせていません。このあたりは、一見緩く規定しているように見えるかもしれません。

実は、IBMではこれとは別に、ビジネス・コンダクト・ガイドライン(BCG)という社員行動規定があります。これも一般公開しています。→リンク

IBM社員は、毎年このBCGの内容を確認した上で、遵守する旨の同意をすることを求められています。

つまり、IBMがソーシャル・コンピューティング・ガイドラインは、このBCGを社員が遵守することを前提にした上で、規定されている訳ですね。BCGの上に、ソーシャル・コンピューティング・ガイドラインがある、とも言えますね。