2月17日のエントリー「【驚異的に格安で、高品質。しかも凄く速くてカンタン】 freelancer.comで、新興国への外注サービスを、個人で使ってみた」には、多くの方々からTwitterやはてぶで沢山のコメントをいただきました。
厚く感謝申上げます。
当ブログでいただいたコメントの中で、
「もっと大きい画像でどんな作業内容か見たい」
「レタッチ前と後を比較して見せて欲しい」
とのご要望をいただきました。なるほど、確かに、ごもっともですね。
実は、当エントリーを書いた2/17時点では、この写真を使用した新著の表紙カバーはまだ作成中でした。さらに舞台裏(=修正前の写真)を見せたくないとの思いもあり、写真の公開は差し控えていました。
しかし、せっかく多くの方々に当エントリーをご覧いただきましたし、お礼の意味で、当ブログでbefore/afterを公開致します。
なお、この写真をレタッチした経緯は、元エントリーを参照下さい。
写真をご覧に入れる前に、「そもそも、なんでレタッチが必要だったか」を説明します。
写真は私のライフワーク。私は基本的に自分の写真作品はレタッチしない方針です。(こちらに私の写真サイトがありますがレタッチ一切なしです)
しかし、今回は、必要に迫られてレタッチしました。
新著の表紙カバー写真で使うために、茶道の師範に「お茶を点てているところの写真を撮らせて欲しい」とお願いしたところ、今年1月に初釜を催して下さいました。
師範はその前日、茶席を用意するために、自宅の梅の枝を取ろうとして、誤って指に怪我をしたため、当日は指に包帯を巻いた状態で茶席を催して下さいました。
出来上がった写真はとてもいい感じでしたが、包帯の部分だけは違和感がありました。
茶席は一期一会。二度と撮れません。本の版下作成の締切りも迫っています。
そこで、包帯をしていない状態にレタッチで修正する必要があった、という訳です。
ではbefore/afterの比較です。まずは全体の写真から
■全体 (レタッチ前)
■全体 (レタッチ後)
包帯が消え、和服と畳に散っている緑色のお茶の粉も削除されています。
さらに、当初は私からはお願いしていなかったのですが、下記も修正していただきました。
■畳の縁をなくし、畳にする
■より印象強く見えるように、手と器以外はモノクロトーンに変更
もちろん、事前に私の確認を取った上で、修正しないバージョンと修正したバージョンを作ってくれました。
それでは、問題の包帯はどの程度きれいに消えたか?
3861×2574ピクセルの画像の部分のみ拡大します。(クリックすると実寸大に拡大)
■部分 (レタッチ前)
■部分 (レタッチ後)
包帯が、見事に消えています。
私がfreelancer.comでこの作業を発注した際には、応札120件中20件で修正サンプルが付けられていました。
しかし他の19件は、自然な感じのものはほとんどなく、本当に玉石混合(というかほとんどが石)でした。
例えば、指のしわがなかったり、単調だったり、ひどいのになるとナメクジのようなのっぺりとした指だったり。
その中でも、セルビアに住む彼が応札で添付したサンプルは、際立って高品質。まさに「玉」でした。そこで、入札開始後24時間で、彼と契約しました。
このセルビアに住む彼は、お願いした部分だけでなく、自分で「こうすべし」と思ったら私に提案し、こちらの意向を確認した上で、追加作業までしてくれた、という訳です。
なお、彼が追加作業を提案し、作業を実施したのは、契約成立後です。
追加作業してもしなくても、彼への支払総額は30ドル(2500円)で変わりません。
そんな状況で、しかも契約が成立してから私に追加作業を提案し、数時間で作業を完了しました。
これだけの高品質な仕事がスピーディに出来るのに加えて、謙虚で誠実、そしてとてもプロアクティブで、常に顧客のための自分の付加価値を考え続けています。
プロフェッショナルとしての高いプライドを感じました。
私は写真のレタッチの専門家ではありませんし、専門家からご覧になると色々とご意見があるかもしれません。
しかし、発注主である私は、この仕上がりには大満足です。
それとともに、このようなプロフェッショナルな作業を、2,500円でグローバルにソーシングできる意味を、色々と考えさせられました。
先日のエントリー「【驚異的に格安で、高品質。しかも凄く速くてカンタン】 freelancer.comで、新興国への外注サービスを、個人で使ってみた」に対するTwitter (Togetterで集計)とはてぶのコメントを見ると、興味深いことに、二つの意見に分れているように思いました。
■一つは、「今の自分の仕事、ヤバい!」という人たち。
■もう一つは、「チャンス!」という人たち。
対極の意見ですが、両方とも真実でしょう。
私自身、「ヤバい。でも、チャンス」と思っています。
やはり、これからの時代、顧客に対する自分の価値をどのように考えて創っていくかが、問われているように思います。
ここからは、少しだけ宣伝が入りますが、ご容赦ください。
3/30に、3冊目の本「バリュープロポジション戦略 50の作法」を出版しますが、本書は、まさにこのような課題へどのように考えていくべきか、をテーマにしています。
顧客の要望に応えようと皆が努力した結果、自社や競合の差がなくなり価格競争の罠に陥っている状態から脱却し、本当の差異化により、顧客に価値を提供するには、どうすればよいのか?
マーケティングの現場で、私が実践してきた経験を踏まえ、その考え方を書きました。
こちらの目次で概要が分かります。(なお本書では、今回のグローバル・ソーシングに対抗するための具体的解決策は提示していません。いわゆる「バリュープロポジション」という考え方でいかに顧客中心主義を実践していくかが書かれています)
今後、いかに顧客視点で差異化を考えるべきか、皆様のヒントになれば幸いです。
販売はアマゾン限定で、現在予約受付中。発売直前の3/25に出版記念セミナーもあります。
なお、今回レタッチした写真は、本書の表紙カバーで使用しています。
加工前後の画像をお願いした名無しです。要望に応えていただきありがとうございます。そのままでは失礼なので実名に変更いたしました。
画像を比較してみましたけど私の予想以上に手を加えてるんですね。
>例えば、指のしわがなかったり、単調だったり、
>ひどいのになるとナメクジのようなのっぺりとした指だったり。
見なくても大体想像できますよ、それ。この加工だと指を描く所で一番技量の差が解りやすいですから。
エントリを読んだ印象、技量よりもプロ意識の高さが素晴らしいですね。もっとバイト感覚かと思ってました。ここまでしちゃうんですね。
前にいただいたコメントでよい気付きをいただきました。
ありがとうございました。
発注側が受注側のアラが全て見えてしまう、ということなのでしょうね。
「情報非対称性」という言葉がありますが、それがグローバルレベルでなくなりつつあるように思います。