IBMのサイトで、IBM 6代目CEOであるジョン・エイカーズの逝去を伝えています。
An appreciation John F. Akers December 28, 1934 – August 22, 2014
私が日本IBMに入社した1984年、IBMのCEOはジョン・オペルで、プレジデントがジョン・エイカーズ。
翌1985年、エイカーズはCEOに就任しました。
当時20代前半で駆け出しの若造だった私から見ると、エイカーズは雲の上の、さらに上にいるお方。さらに当時のIBMは超階層組織。お目にかかる機会はありませんでした。
しかし写真やビデオ、また実際に会った方のお話しを伺うと、まさに「紳士の中の紳士」であり、IBMの文化を体現する方でもありました。
当時のIT業界では、IBMは世界最強。様々な独占禁止法の訴訟を受けていましたが、それらも1983年までにほぼ解決。
独禁法の鎖から解き放たれたIBMが何を仕掛けてくるか、IT業界やマスメディアは注目していました。
その時点で満を持してのCEO就任でした。
皮肉なことに、IT業界におけるIBMの相対的な地位はその時がピーク。
その後、PCなどによるダウンサイジングの波が始まり、大型コンピューター中心だったIBMは、企業変革に苦しみ抜くことになります。
1991年に創業以来初の赤字計上。1993年までに累積赤字は150億ドル(1.5兆円)。
そんな中、エイカーズは1993年までIBMを率いました。
そして後任の7代目CEOとして、IBM生え抜きでなく初の外部から招いたトップとなるルー・ガースナーが就任。IBMをサービス・カンパニーへと大変革をしていきます。
IBMが素晴らしいのは、今回のアナウンスにもあるように、そのような過去100年の歴史を積極的に肯定し、苦しい時代にも尽力してきた人たちに対して深くリスペクトをしているところです。
エイカーズは、2011年にIBM創立100周年を記念して作成されたビデオ“IBM Centennial Film: 100 X 100”にも、1934年生まれのIBM社員として登場しています。
ご冥福をお祈りしております。