様々なLCCが就航を始める2012年は、日本のLCC(ローコストキャリア、格安航空会社)元年と言われています。
2012/4/15の日本経済新聞の記事「そこが知りたい 格安航空は日本に根づく?―ピーチCEO井上慎一氏」で、3月に就航を始めたピーチ・アビエーションの井上慎一CEOがインタビューに答えておられます。
新市場を開拓し、かつ既存ビジネスとのトレードオフを考える上で参考になる記事でした。
—(以下、引用)—
….学生やお年寄りなど、これまで飛行機を使ったことがなかった人たちが乗っている。女性客も多い。全日空や日本航空などは男性客が圧倒的に多いが、ピーチは半分程度が女性だ。…..安さに敏感な人が多いという手応えを感じている
(中略)
――LCCがほかにもできて、競争が激化する。生き残っていけるか。
「生き残れるか、生き残れないかではない。潜在的な需要は夏以降運航を始める2つのLCCを合わせても吸収しきれない規模がある。…..」
—(以上、引用)—
確かにLCCを「単なる値下げ」と考えると市場は縮小してしまいます。
そうではなく、新たな顧客を取り込んで新市場を開拓する。
新たな顧客を創造するためには、マーケティング施策も変わってくる訳ですね。
—(以下、引用)—
――39%を出資する全日空との関係は。
「今後も当社の経営には関与しない。親会社が路線計画や運賃に口を出して失敗したLCCはいくつもある。経営の独立性はLCCの根幹だ。われわれが頑張れば全日空にも利益は大きい。…..」
—(以上、引用)—
一ヶ月ほど前に当ブログで書いた「改めて読む、ポーター vs ミンツバーグのマーケティング戦略論対決がとても面白い件」で1971年創業のLCCの草分け「サウスウエスト航空」と、これに対抗した大手航空会社「コンチネンタル航空」について書きました。
ここで書かれている通り、コンチネンタル航空が失敗したのは従来路線の枠組みで「コンチネンタル・ライト」というサービスを提供したためです。
既存ビジネスから独立して新市場を創造するにあたっては、多くの場合、既存ビジネスとのトレードオフが発生します。
LCCもそうですし、10年ほど前だとプラスから独立したアスクルのようなケースもあります。
井上CEOが語っておられる「経営の独立性はLCCの根幹」、これは多くの新規事業立ち上げの場合に当てはまるのではないかと思いました。