1984年に出版された「失敗の本質」という名著があります。
1939年のノモンハン事件から1945年の沖縄戦まで、大東亜戦争における日本軍の失敗を組織的な問題の観点で分析したものです。
「失敗の本質」はロングセラーを続け現在累計52万部。
一方で、「失敗の本質」は大著で難解な面もありました。
そこで今月ダイヤモンド社から、『「超」入門 失敗の本質』という本が出ました。
昨日購入しましたが、とても分かりやすい本だという印象を受けました。
「失敗の本質」は日本軍の6つの戦いをつぶさに検証したものですが、『「超」入門 失敗の本質』はそれらに共通する課題をまとめて、共通課題を検証するという手法を採っています。
たしかにビジネスで役立てるためには、この方法はとても有効です。
ちょうど読み始めた段階ですが、「日本軍は戦略が曖昧であった」ことを紹介した章で、p.56でとても興味深い話しが出てきました。
1959年にホンダが米国に進出した際、当初は大型バイクで参入しようとしたところなかなかうまくいかず、駐在していたホンダの社員が休日に50ccの小型バイクスーパーカブを乗り回していたところ、行く先々で大人気で、米国に小型バイク市場の潜在需要があることに気づき、市場開拓をして大ヒットに繋げた話を紹介し、次のようにまとめています。
—(以下、引用)—
この事例から類推できることは、多くの日本企業が、ホンダと同様の体験的学習により、偶然新戦略を発見する技能に極めて優れていた、ということです。
日本軍ならびに日本企業が歴史上証明してきたことは、必ずしも戦略が先になくても勝利することができ、ビジネスにおいても成功することができるという驚くべき事実です。
(中略)
唯一の弱点は成功した定義が曖昧なため、売れた商品ばかり販売を続けてしまい、文字通り常に全面展開してしまうことです。
….意識せずに発見した「経験則による成功法則」では、適用すべき範囲を判断することが難しく、結果として過去の成功事例の教条主義に陥りやすいのです。
—(以上、引用)—
確かに、以前こちらで紹介しましたように、マイケル・ポーターは「日本企業には戦略がほとんどない」と語る一方で、ミンツバーグは「われわれは全く反対の意見を持っている。日本企業は戦略を学ぶどころか、ポーターに戦略のイロハを教えてあげるべきではないか?」と述べています。
このことを「失敗の本質」の観点から掘り下げているのは、私にとって新鮮な視点でした。
これから読み進めていきますので、適宜ご紹介したいと思います。