「お客様は神様です」
日本が誇る、ある国民的歌手の言葉です。
もとは、「ステージを見に来て下さっているお客様を、神と敬い、その前で自分の歌(=仕事)を披露するのだ」、という考え方でした。
しかし、この言葉にはとても強い力があり、ともすると我々は顧客を絶対と考えてしまったり、顧客は全知全能と考えがちです。
このことを考えさせられた事例があります。
場面は、ある鶏肉加工工場。
作業員は、手作業で鶏モモ肉の骨をはずしていました。とても非効率です。
熟練作業者曰く、
「この業界では、昔から手で骨を取り出している。
それ以外の方法を考えること自体、ばかげている」
ある機械製作会社の担当者は、考えました。
「自動脱骨機を作ろう」
実機デモを見た顧客は、一目で商品の価値を理解。大ヒット商品になりました。
「自動で脱骨する」というニーズは存在していましたが、顧客は気づいていなかったのです。
カルロス・ゴーン曰く、「5年後の車について消費者は答えを持たない」
「顧客中心主義」とは、顧客課題最優先で考えること。
しかし「顧客の言いなりになる」ことではないのです。
顧客が気がつかない課題を、真剣に考え、解決策を創造することが、企業の存在意義です。
顧客は、時には間違えるけれども、大切なパートナーです。
だからこそ、パートナーを選ぶように、幸せにするために誰を顧客にするのか、私達は考えたいですね。