言うまでもなく、アンケートは宝の山です。
全体の傾向を把握するには、アンケートで多数派の意見がどこに集約されているのかを見ることが大切です。
例えば、ある製品群(例えば先日紹介した自動掃除ロボット)の普及率を把握する場合。
アンケートで、「既に使っている」、「購入予定」、「購入検討中」、「興味あり」、「興味なし・知らない」の比率を把握すると、その製品が製品ライフサイクルのどの段階にあり、どのようなマーケティングや販売施策を講じればいいのかが分ります。
例えば「既に使っている」、「購入予定」、「購入検討中」を合計しても15-16%以下なら、カズムを超える以前の段階ですので、まずはアーリーアダプターに完全に浸透させつつ、アーリーマジョリティをいかに掴まえるかを考えていくことになります。
一方で、顧客の潜在ニーズも、アンケートの生コメントから読み取ることができます。
実際、生コメントを何度も熟読すると、将来の大ヒットに繋がる非常に貴重な原石が、少数派の意見として隠れているのを発見することもあります。
本日(4/19)の日本経済新聞朝刊「私の課長時代」は、花王社長の尾崎元規さんが、ブランドマネージャーだった頃のころが書かれています。
—(以下、引用)—-
ある調査でシャンプーへの要望を聞くと総数500件の中に「髪を軽くしたい」という要望が3件。
普通なら見逃す少数意見ですが、「髪を軽く」という耳慣れない表現が気になって、開発部門と研究を始めました。よく調べると皮脂や整髪料の影響で実際に髪が重くなることが判明。
「髪を軽くするシャンプーがあれば、売れるはず」という結論に達したのです。
—(以上、引用)—
1983年に商品化した「ピュアシャンプー」は大ヒットしたそうです。
このようなヒントは、アンケート集計結果からは決して読み取れません。
アンケートの生コメント、できれば記入した用紙そのものを、何回も熟読し、仮に極めて少数派の意見でも、気になった点は「なぜだろう?」と考え続けることが必要です。
アンケートの生コメントは、マーケット担当者にとって、普段考えていてなかなか分らない顧客の課題を把握し、解決するヒントが満載です。
しかも、顧客自身の声で書かれています。
活用しない手はないですよね。
私は社外で講演をさせていただく度に、主催者にお願いして、可能な限りアンケートを取らせていただきます。
アンケートからは実に様々なことが読み取ることができ、次回の講演へのヒントが得られるからです。
何よりも、自分が仮説を立てて講演した内容が、実際に聴いて下さった方々にちゃんと価値があったのかを検証するのが楽しみだから、でもあります。(逆に、それは「審判」という意味で怖さでもあります)
マーケット担当は、時間が許す限り、アンケートの生コメントを熟読するようにしたいものです。