1980年代後半に米国に出張した際の出来事です。
冬だったのですが、うっかりしてレンタカーのスモールライトを消し忘れて、一晩駐車場に置いてしまいました。
当然バッテリーがあがってしまい、翌朝はエンジンがかかりません。
仕方なく数日間、一緒に出張した上司の車に乗せてもらいました。
米国人の同僚達にバッテリーがあがってしまったことを話したところ、皆が異口同音に
「それは即刻、レンタカー会社にクレームすべきだ」
と言いました。
「いや、スモールライトを消し忘れたのは私のミスだし…」
と私が言っても、
「一晩つけっ放しにしただけでバッテリーがあがるなんて。信じられない」
と怒っています。
結局、私はレンタカー会社にクレームする勇気もなく、ホテルに頼んでバッテリーを繋いで起動できました。
この経験で、
「米国という国は、自己主張するのが大前提の社会なのだな」
と思うとともに、
「しかし、こんなことまでクレームを主張する米国には、ちょっとついていけないな」
とも思いました。
本日(4/15)の日刊工業新聞で、弁護士の深澤直之さんが「クレーマー対策ABC」という記事を書かれていました。
—(以下、引用)—
クレーマーに煩わされる最大の原因は企業には「顧客至上主義の呪縛」、役所には「市民至上主義の呪縛」があり、その呪縛が強く、呪縛から解かれがたいことにある。相手が「ありがたい顧客」や「善良な市民」である以上、クレームを受けたとき無碍には扱えず、「相手の感情を損なってはいけない。大事に至らぬよう、丁寧に説明責任を尽くし、穏便円満にご納得頂くことに誠意をもって尽力すること」、これこそが正に「クレームの処理」という誤った認識がまん延していることにある。
日本がクレーマーがまん延する情けない今の社会に成り下がったのは、日本人が美徳として皆誰もが自然に持っていた「相手方を思いやる心」が欠落したからである。権利主張しなければ損、自己責任を他人のせいに責任転嫁する風潮、それは個性を尊重しすぎの個人主義の偏重教育の誤りと非難すること自体は優しい。が、困惑させられている方々のため対症療法を、具体的に、次週から説いていくことにする。
—(以上、引用)—
「権利主張しなければ損、自己責任を他人のせいに責任転嫁する風潮」というのは、私がまさに20年前に米国で実感したことです。
深澤さんがおっしゃっているように、私が米国で20年前に体験したこととまさに同じ状況が、現在の日本で発生しているように見えます。
ちなみに、米国は現在どうなっているかというと、さらに進んでいて、この記事のような状況のようです。
1年間使用して故障した商品を平気で返品するその考え方は、さすがに理解できないですね。
米国人の中でも一部なのでしょうけれども。
私が20年前に驚いたことは既に日本では常態化していますが、このような現代の米国の風景が日本でも当たり前になる日は、来ないような社会にしたいですね。