色々と努力しているのに、どうしてもビジネスがうまくいかない。
対策が必要です。
効果ある対策を講じるためには必要なことは、ビジネスの分析と業績不振の原因の特定です。
これ、すごく難しいのですよね。
例えば、現場のセールスの立場からすると、
「忙しくって案件が追っかけられない。徹夜続き。人を増やして欲しい」
確かに、忙しくって案件が追っかけられないのは大きな問題。徹夜続きの毎日、大変です。
しかし、ビジネスの観点に絞って言うと、人を増やしてすぐに業績が改善するかというと、必ずしもそうではありません。
例えば、人を2倍に増やしても、多くの場合は売上が2倍にはなりません。
なぜなら多くの場合、問題の根本原因は、セールスの人数ではないことが多いからです。
例えば、お客様の要望を外したメッセージや商品を出しているとか。
例えば、マーケティング活動とセールス活動が全然連携できていないとか。
例えば、成長が著しい分野に人員を集中投下できず、売上は大きいけれども徐々に衰退している製品群に人を集めているとか。
そういうことが、問題の原因だったりします、
ですから、多くの場合、「人が足りない。忙しい」というのは根本原因でないことが多いのです。
この問題の原因特定の際に気をつけたいことがあります。
それは、"root cause"と"excuse"を分けることです。
"root cause"とは、問題を起こしている「根本原因」です。
"excuse"は「言い訳」です。
一見、"root cause"と"excuse"は非常に似ていて、見分けが付けにくいものです。
しかし、大きな違いが一つあります。
"root cause"の場合は、これを取り除くことで問題そのものが解決し、業績改善が見込めます。
"excuse"の場合は、これを取り除いても問題は解決しません。
あるいは、そもそも取り除けない要因だったりします。このような場合は、その取り除けない要因の影響を最小限にするアクションが必要になります。
例えば、下記はどちらでしょうか?
「そもそも成熟市場向けの商品なので、売上が伸びない」
これは"root cause"(根本原因)ではなく"excuse"(言い訳)の典型です。
市場レポート等を見て、「そもそも成熟市場向けの商品である」と提言すること自体は問題ありません。
しかしそれが分かっただけでは、売上を伸ばす方法を見つけることが出来ません。
また、この要因自体を変えることは容易ではありません。成熟市場を成長市場に変えるのは、不可能ではありませんが、莫大な投資が必要です。
また、実際には成熟市場でも成長している企業がどの業界にも存在する、という事実がある以上、「成熟市場向けの商品である」ということだけでは、root causeにはなり得ません。
非常に簡単に言うと、「そもそも成熟市場向けの商品なので、売上が伸びない」と正面から言われても、「それをいっちゃあ、おしまいなのよ。だからどうするか考えているんですよ」っていうことです。
ただし「だからこのビジネス、明日から止めましょう」という提言をするのであれば別です。
しかしこの場合は、「だから、代わりに明日から取り組むべき仕事はコレです!」という提案を十分な説得材料とともに主体的に提言したいところです。
ということで、原因の特定、日々悩みながら進めています。
言うまでもなく、本当に大変なのはその後に関係者のコンセンサスを得て実行する段階です。
しかし、コンセンサスを得るためには、まず最初の段階である問題の定義と原因の特定をしっかり論理的に構築することが、成功のカギであると思います。
実際に業務を進める場合は、これをPDCA (Plan, Do, Check, Action)で進めていく訳で、この問題の定義と原因の特定はこのPDCAプロセスの一部として常に行っていくことになるのですね。