今月、2010年9月の日本経済新聞の「私の履歴書」は、哲学者の木田元さんです。
哲学者の人生がどのようなものなのか、私はまったく知らなかったのですが、読んでみるととても面白く、今月、日経を読むときは真っ先に「私の履歴書」を読んでいます。
「ハイデガーを読むために大学に進学した」という木田元さん。
本日2010/9/29の連載では、33年間継続された有志の読書会のことを書いておられます。
—–(以下、引用)—–
たしかに自分で考えることは大事だが、それにはやはり訓練が必要である。
特殊な天才は別にして普通の人間は、キチンと考えて書かれたテキストを、初めの1ページから最後の1ページまで、一行一行読んでいき、著者の思考を追思考することによってしか思考力は養えない。
自分の経験やこれまで学生を教えてきた経験から、そうとしか思われないのだ。
—–(以上、引用)—–
過度な自己流にも限界があるということですね。
「守・破・離」という言葉があります。
まず先達の知恵を学ぶ「守」があって、初めて応用力の「破」があり、そして自分らしいオリジナリティを発揮する「離」があるのだと思います。
正しい読書は、シンプルですが、最初の「守」の基本を通過するための王道ということですね。
ただ、これには条件があると思います。
木田元さんの読書会では、33年間でメルロ=ポンティの講義録9篇とハイデガーの講義録20冊を読んだそうです。
正しい本を選び、学ぶことが大切ということでしょう。
自分の貴重な時間を使う読書だからこそ、その時に読む本は厳選すべきなのでしょうね。
先輩や師匠の薦める本や、アマゾンやブログの書評を参考にして、その本で何を得られるかを考えた上で、本を選ぶことが必要なのではないかと思いました。