オフィス永井では、講演や研修をご提供していますが、実は前職で日本IBMにいた時は、企業の人材開発のマネージャーとしてそれなりの予算を持っていました。発注側としてクライアントサイドにいたのですよね。
発注側で常に考えていたのは、「研修で効果を出すこと」です。つまり「研修で社員のビジネス力を上げること」です。
これは経営トップの意向でもありました。本来、研修で社員のビジネス力を上げることは、業績に直接影響を与えます。
研修は、企業にとっては投資です。
正しく設計し実施された研修は、企業にとって投資対効果は極めて高いのです。
そのミッションを受けて、日本IBM在職中、私はマーケティングマネージャーから人材開発責任者に異動することになったのです。
研修で「ビジネス力をあげる」ためには、良いコンテンツを目利きすることに加えて、もう一つ課題があります。
「忘却曲線」です。
人間は記憶を忘れるものなので、「いい話を聞いた」と思っても、翌朝には話の7割は忘れてしまっています。時間とともにどんどん忘れていく。これが「忘却曲線」です。
お金を投資する研修責任者の立場で言うと、研修業務はこの「忘却曲線」との戦いです。
日本IBMで人材開発マネージャーを担当していた頃、「忘却曲線」を克服するために色々なことを試みました。
1.参加者に事前・事後課題を行っていただく
2.研修数日後に所感を出していただき、振り返りの機会を持っていただく
3.現在困っている実務に即した研修を企画し、該当する人に出席いただく
この中で比較的効果が上がったのが3.です。
やはり業務に即した内容の研修が、一番効果が上がります。
1年前に独立し講演や研修をご提供するようになってからも、常に「業務に密着すること」を考え、そのクライアント企業様の業務に密接に関係した内容に仕上げて、丸一日、あるいは数日間の研修を実施しています。
私の専門分野はマーケティング戦略・営業戦略なので、参加者が抱えている事業の営業戦略を研修を通じて作っていく形式にしています。
営業戦略策定のためには、事前にクライアント企業様の企業戦略や事業内容をしっかり把握しておく必要があります。
そこで事前にご担当者とお打ち合わせを重ねる一方で、クライアント企業様の情報を幅広く調査します。場合によっては役員の方に課題や方針を何回も確認することもあります。
このように共通の出来合いプレゼン資料で同一内容の研修をするのではなく、基本骨子として私なりの方法論を持ちながら、クライアント企業様に個別にカスタマイズしてご提供しています。
準備に時間と手間がかかるのであまり数多くの研修はご提供できないのですが、参加者された方のご感想を見ると、「これまで参加した研修の中で一番良かった」「明日からの仕事にすぐに役立つ」というご意見を多くいただいています。
前職では、様々な事業部を横串にし、10事業部以上の戦略策定・実施を支援しつつ、事業本部全体の事業戦略を策定することを長年行っていました。この実務経験が、今、とても役立っています。
一方で前職ではIT業界でしたが、独立後は食品業・サービス業・不動産業・倉庫業などのように実に様々な業界おける企業様が抱えるリアルな課題を理解でき、私自身もとても勉強になっています。
研修をご提供して実感するのは、各業界で固有の問題がある一方で、「根っ子の部分で抱えている課題は共通」ということ。
たとえばコーラシリーズで描いたように、「顧客絶対主義からの脱却」「成功体験からの脱却」「現状維持の打破」、等です。
独立して1年が経過して、いい感じで回り始めているので、この形をさらに進化させていきたいと思っています。