顧客が気がつかない課題を考えるヒント


差別化を図るポイントの一つは、顧客自身も気づかないニーズやウォンツをいち早くキャッチし、解決策を提供することです。

逆に既に顕在化している顧客のニーズやウォンツに対して後追いで対応していると、常にライバルとの競争になります。競争は戦いですので、結構大変です。価格競争になったりすると、利益はどんどん削られます。

だからこそ、顕在化していないニーズやウォンツをいち早くキャッチし、対応することが、差別化につながるのですね。

 

私は研修や講演で、バリュープロポジションを考えるワークショップをよく行います。バリュープロポジションを考えるためには、「顧客が気がつかないニーズやウォンツ」を考え抜くことが必要です。

ただ、ゼロから考えようとするとなかなか大変です。そこでいくつかヒントがあります。

(1) 特定の顧客をイメージしてみる

実際に現在や過去のリアルな顧客をイメージし、どのようなことで困っていたかを考えることで、課題を考えるヒントになります。

(2) 顧客が「当たり前」と思い込んでいることに、挑戦してみる

顧客は「不便さ」を「当たり前」と思って受け容れているケースが意外と多いのです。その「当たり前」に挑戦することは、一つのヒントになります。たとえば、「掃除は面倒なのが当たり前」という常識に対して、アイボットのルンバは「スイッチポン」で掃除できるようにしました。またフィリップスの自動製麺機は、「麺は買うのが当たり前」という常識に対して、「小麦粉、水、塩を入れれば麺が作れる」ようにしました。

(3) 他業界のケースを参考にしてみる

他業界のやり方で既に当たり前になっているケースは、別業界では意外と参考になります。たとえばすっかり普及したクラウドサービス。これは電力会社のモデルと同じです。かつて100年ほど前、電力は、電力を必要とする会社が工場を動かすために自ら発電所を持っていました。こうするとそこら中に発電所を作らなければなりません。これをまとめてしまい大きな発電所を作って、使用量に応じて課金すれば効率的です。そこで電力会社が生まれました。発電所をサーバーと考えると、クラウドサービスは電力会社です。(実際、かつてのユーティリティコンピューティングはまさに同じような考え方をしていました)

(4) 不要なものが復活できないか、考える

たとえば「日本一星が美しい」という山があります。ある旅行代理店では、その山の山頂へのナイトツァーを開発。ツァーへの申込みが殺到しています。この山はスキー場なので、山の山頂へは夏は不要なゴンドラを使っています。

(5) 会社の外に出て、顧客から愚直に学び続ける

やはり一番学びになるのは、リアルな顧客です。ただし手ぶらで顧客に会って言いなりになって要望に対応するのではなく、ある程度の仮説を持ってそれを検証するという形で学びたいものです。

 

顧客の課題を考えるヒントは、色々とあります。常に考え続けることで、思わぬ気づきが得られるのです。

最近私も、気がつくとクライアント様の課題や解決策のことばかりを考えています。