社外講演をしたり、『朝カフェ次世代研究会』をやったりしていて実感するのですが、次のように考えているビジネスパーソンの方々が、とても多いのですよね。
会社にいてキャリアを積んで10年以上(あるいは20年以上)経った。
仕事はそれなりに順調。
でも、このままでは何か不安。
自分の経験やスキルは、社外で通用するのだろうか?
私も10年位前まで、同じように考えていました。
当時、ライフワークの写真は別として、ビジネス分野では仕事以外の付き合いがなく、自分の力に確信が持てませんでした。
思えば、日本のビジネスパーソンの多くは、インサイダーの存在であると思います。
つまり、仕事の場は、社内が中心。
一緒に仕事をする人達も、基本的に社内。
セールスの場合はお客様、あるいは購買やマーケティングのように取引先の方とお付き合いが多い人もいるでしょう。
それでも、基本は社内のお付き合いですし、情報は社内で流通します。
終身雇用制の名残があって労働市場の流動性も低いことや、今までは企業活動が閉じた形になっていたこともあって、自分個人が情報発信する必要性は少なかったということなのかもしれません。
実際には、「自分の考え方を情報発信する」ということは、「批判を受け入れる覚悟を持つ」ということです。
そして「批判を受け入れる覚悟を持ち」「批判を受け入れる」ということは、成長に繋がります。
様々な調査では、日本のホワイトカラーの生産性は先進国中で最下位です。
組織的な問題もさることながら、今までビジネスパーソンが個人として情報発信しておらず、個人の競争力をつけてこなかった結果なのかもしれません。
実際、自分の考えを持っていても、その考えを出したがらない人は、意外と多いように感じます。
しかし今の世の中、自分の考えを表明しないことは、必ずしも美徳ではありません。
この積み重ねが、冒頭の
『….でも、このままでは何か不安。自分の経験やスキルは、社外で通用するのだろうか?』
に繋がっているのではないでしょうか?
そのような人達に、「最初の一歩」としてお勧めなのは、ブログを書くことです。
それも実名で、ビジネスについて書くことです。
社員がブログを書くことについて、明確に規定していない会社も多いようです。
そんな場合、例えば上司に、「実名でビジネスブログを書きたいのですが」と話してみるのも、よいでしょう。(上司のキャラクターの見極めが必要ですが、…これもビジネスパーソンのスキルの一つです。(笑))
ただし、多くのマネージャーは、「ブログのことはよく分らない」というのがまた、実情だと思います。
そこで、IBMが一般公開している「IBMソーシャル・コンピューティングのガイドライン」を、参考のために上司に見せることをお勧めします。
このガイドラインはIBM社員用ですが、IBMという言葉を皆さんの勤務先に置換えて読むと、一般性がとても高いスグレモノです。
下記にエグゼクティブ・サマリーを抜粋します。
- IBMのビジネス・コンダクト・ガイドラインを熟知し、それに従いましょう。
- IBMerはブログ、Wiki、その他の形態でのオンライン・ディスカションなどに、自分が掲載した内容に個人的に責任を持ちます。あなたが書いたものは長期間公開されることになることに留意し、自身のプライバシー保護に努めてください。
- IBMやIBMに関連した事柄について書く際には、身元(氏名、必要に応じてIBMでの任務)を明らかにしてください。人称は一人称を使います。書かれたことは、自分の個人的見解でありIBMの意見を代弁するものではないことを明確にしてください。
- IBMでの自身の仕事やIBMに関する話題でブログを公開したりコメントを掲載したりする際には、次のような免責文を入れてください。「このサイトの掲載内容は私自身の見解であり、必ずしもIBMの立場、戦略、意見を代表するものではありません」
- 著作権とその公正使用、および財務情報公開に関する法律を遵守してください。
- IBMおよび他者の、機密情報や専有情報を提供してはなりません。 個人情報またはIBM内部の情報とみなされる内容を発表、言及する場合は、許可が必要です。
- 承認を得ずにお客様、パートナー、サプライヤーを引き合いに出したり、言及したりしてはいけません。また言及する場合においては、ソースへのリンクを張ってください。
- 読者に敬意を払いましょう。人種に関連した中傷や特定の個人への侮辱、猥褻な内容、IBMに対する不利益行為などは禁止します。他者のプライバシーや、政治・宗教など異論が出たり扇動的になったりする可能性のある話題については、充分に配慮してください。
- 他の誰がその話題についてブログで記事を書いているか調べ、引用しましょう。
- オンライン・ソーシャル・ネットワーク参加に当たって、IBMの社員としての自覚を心がけてください。IBMerとして、同僚やお客様に紹介したいプロフィールや記事内容を発表しましょう。
- 喧嘩を仕掛けてはいけません。自分の間違いがあればいち早く訂正しましょう。ただし過去の掲載内容を断りなく変更してはいけません。
- 価値を付加するよう心がけてください。値打ちのある情報と見識を提供しましょう。IBMのブランド価値は社員により示されること、そして皆さんの出版内容はIBMのブランド価値を左右するものであることを忘れないようにしましょう。
「積極的に社外に情報発信する」ための最初の一歩は、難しいようでいて、思ったよりも簡単です。
必ずしも毎日書く必要はありません。最初は1週間に1回でも、あるいは1ヶ月に数回でもいいでしょう。
「全く情報発信しない」状態と、「1ヶ月に数回でも情報発信する」状態の間には、無限大と言ってもよい差があります。
最初の一歩を踏み出すことが大切なのです。
そして継続することです。
オルタナブロガーの林さんがここに座右の銘として書かれている、
夢あるところに行動ある。
行動は習慣を作り。
習慣は、人格を作り。
人格は、運命を作る。
は、まさに至言だと思います。
私達一人一人が、実名で、責任を持って情報を発信することで、日本は必ずいい方向へ変わっていくと思います。
永井さん
とりあげていただきどうもありがとうございます。
”「批判を受け入れる覚悟を持ち」「批判を受け入れる」ということは、成長につながる”という視点は、確かに重要だと思っています。
たくさんの、気づきを与えてくれるブログと皆さんに出会うことができて、本当に良かったと思っています。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
大切なことが的確に書かれていて、さすがです!
社内の全員に読むように言っておきました。
「継続すること」これが一番大切と思ってます!
林さん、
こちらこそ、いつも気付きをいただいて感謝しております。
よろしくお願いいたします。
小俣さん、
社内全員なんて、恐縮です。
ありがとうございます。
継続することは、本当に大切ですね。