「日本一社員がしあわせな会社のヘンな“きまり”」を読みました。未来工業という会社の創業者・山田昭男さんが書かれた本です。
未来工業は1965年の創業以来、赤字なし。平均15%以上の高い経常利益率で成長しています。
その未来工業の創業者が書いた本書のオビにこんな言葉が並んでいます。
「60歳からは給料は据え置き。下げないよ。定年前こそ、人は働くんだよ」
「残業したい?だったら、もう一人雇いなさいよ」
「俺の知らない間に営業所ができてんだよ。なにせ報連相禁止だからね」
「大量生産で単価下げろ?たくさん働かなきゃなんないんだから、単価上げたいくらいだよ」
「採用面接なんか俺しないよ。俺が選ぶのも社員が選ぶのも変わらんし」
「正社員でない人間が、まじめに技術を覚えようとするだろうか」
どれも刺激的な言葉です。
例えば、「報連相禁止」
山田さんは以下のように語っておられます。
—(以下、引用)—
例えば、未来工業は「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」は禁止している。あんなものは会社にとってちっともいいとは思えないからだ。
社員が多い大企業ならともかく、うちくらいの中小企業には必要ない。
現場のことは現場の人間が一番知っているんだから、よくわかっていない上司に相談するだけ時間の無駄だよ。
うちでは、最低限の報告をする以外は、全て自分で考えて、自分の判断で行動させている。出張だって、自分が必要だと思えば勝手に出かけているはずだ。
—(以上、引用)—
つまり「報連相禁止」で野放しでなのではなく、徹底的に権限委譲をしています。そして権限委譲しているから、一人で必死に考えるようになる。その背景には、徹底した社員への信頼があります。
確かに私が勤務先しているような会社で「報連相禁止」したら業務は止まります。しかし未来工業ならば、権限委譲するという前提でうまく動く。
このように、一見荒唐無稽に見えること一つ一つが、未来工業ならではの差別化を真剣に考えた結果です。
山田さんは随所で「それが日本人のメンタリティだよ」と書いておられます。確かに海外ではこれを実行しようとしても難しい国は多いかもしれませんね。
自分の固定観念を覆す上で、とても参考になった本でした。