一昨日2012/7/18の朝カフェ次世代研究会は、三井智博さんの「 IT業界における販社ビジネスモデル考 ~安くて完成度の高い製品は売れない?~」でした。
IT業界のご経験が長い三井さん。
最初は独立系電子部品商社で仕事をされ、企業向けソフトウェアベンダー、外資系ソフトウェアベンダー(セキュリティ)を経て、現在e-Janネットワークス様で営業部長をなさっておられます。
そのご経験に基づいたお話しでしたが、IT業界で製品を売るためには販社ビジネスのビジネスモデル理解が命綱である、と改めて深く納得次第です。
三井さんは、日本のIT業界では、「販売会社≒購買代行」という発想が不可欠である、とおっしゃいます。
これは日々の仕事で「なるほど」と思います。
直販ベンダーの発想では、「販売会社≒販売代行」と考え勝ちです。しかし日本では、ITユーザーはITを調達する際に「目利き」を期待します。だから「購買代行」なのですね。
また、販社は「SI’er」「リセーラ」「ディストリビュータ」の3つに分けられます。それぞれの行動は全く違います。
例えば三井さんは、広域リセーラーから「この製品を売れば2000万円ですか?そんなリスクは負えません」と言われた経験がおありだそうです。広域系は小規模案件をスピーディに沢山こなします。一案件が大きな金額になると、大きすぎて、他案件を追えなくなってしまうためです。
一方で、SI’erは逆の立場です。「おたくの製品安くて手離れがいいですね。よく売れていると聞いています。だから取り扱いしません」となります。できる限りサービスを加えて案件を大きく育てようとするためです。
「ミキサー理論」も興味深いものがありました。ジュースを作るミキサーではなく、沢山のレバーがついている音楽のミキサーです。
音楽ミキサーではどれか一つのレバーを上げると不協和音が鳴ります。同様に販社でも、「販促部が盛り上がった」といっても会社は動きません。技術、営業、幹部、といった人たちに働きかけていき、お互いに協和音が出るようにする必要があります。
ちょうどミキサーのレバーを上げるように、販促、技術、営業、幹部といった各部門、および市場のレベルを一つ一つ根気強く盛り上げていくことが大切、ということです。
同様に、販社であるA社、B社、C社、D社、E社、それぞれに声をかけて盛り上げることも必要です。例えばA社さんが自社導入して使っている場合、他の会社にも「いいんですか?お手伝いしますので何とかしましょう」と持ちかけて市場を盛り上げていくことが必要です。ここで重要なのは、決して「お願いします」とは言わないことです。
全て三井さんの実体験から出たお話しで、とても勉強になりました。
三井さん、ありがとうございました。
参加者がTwitterで講演の様子を中継して下さった様子をTogetterでまとめましたので、ご参照下さい。
8月の朝カフェはお休み、次回9/19(水)の朝カフェは、オルタナブロガー加藤恭子さんにご登壇いただき、「広報とは何か 広報初心者が知っておいた方いいこと。10」と題してお話しをいただく予定です。
マーケティングや広報のプロの加藤さんのお話しとても楽しみです。
確かに代行業のドメインに位置しますね。広く浅く直接のビジネスリスクとは遠い存在(感)なんですね。調和と協調、盛り上げかぁ。