『喧嘩上等のカメラ店が「ど素人」に教わった商売の極意』という記事を読みました。
栃木県でチェーン展開するカメラ販売店「サトーカメラ」の取材記事です。
激戦区の栃木県で、カメラ販売シェアは14年連続でナンバーワン。しかも、デジタル一眼レフカメラの販売シェアは60%以上と、まさにぶっちぎりの1位です。
この会社の社長である佐藤勝人さんは、「効率は求めなくてもいい。客が納得するまで話をしろ」と現場に徹底しています。
実際、お客さんがプリントの方法が分からないと、それこそ1時間かかろうとも店員さんがじっくり説明します。
この方法は一見効率が悪いように見えますが、実はこの会社、高収益なのです。
一部記事から引用します。
—(以下、引用)—
人はなんのためにカメラを買うのかってことだよね。すると、実はカメラを買ってるんじゃないってことが分かってくる。行き着いたのが、たぶん、思い出をきれいに残すためなんだろうなっていうこと。
(中略)
そして、「思い出をきれいに残そう」という言葉を掲げて、これからはこの言葉のもとにいくぞと大号令をかけた。それまでサトーカメラはおれの独裁だったんだけど、これからはお客さんとこの言葉に従えと。それが2003年頃の話。
(中略)
ポイントは結局、カネで釣るってことでしょ。我々は金で釣るんじゃなくて、思い出をきれいに残すための商品でお客さんに来てもらう。そうするとポイントをやめた段階で、一瞬、お客さんが離れるんだけれども、最後は戻ってくる。
(中略)
Q. 利益はどれくらい伸びているんですか。
単純に言うと、2005年頃は粗利が平均で25%ぐらいだった。それが2007年頃に35%になった。その時は、もうこれ以上は無理だろうなと思ったんだけど、今は40%近くまでいっている。
—(以上、引用)—
顧客の目線に立って、顧客に「思い出をきれいに残そう」という価値を、妥協なく徹底的に提供することで、高収益を実現した、まさに顧客中心主義の事例ですね。
「客は、穴が欲しいから、ドリルを買うのだ」という言葉がありますが、「思い出をきれいに残そう」というのは、まさにほとんどの人がカメラを買う理由ですね。(私の場合、「カメラが欲しくて、カメラを買う」タイプですが(笑)、そういう人は少数派として、ひとまず置いておいて)
「価格勝負を抜けだして、価値勝負に転換」をB2Cの小売りの世界で実現。その考え方もシンプル。素晴らしいですね。
このような会社、日本に増えてくるといいですね。