こちらにも書きましたように、以前より私はネットの本質は利他であると考えているのですが、本日(7/4)の日刊工業新聞の記事『リスクマネジメントABC 「薄い信頼」の低下』は、利他的行動を考える上で大変興味深い記事でした。
—(以下、引用)—
ソーシャル・キャピタルで有名なパットナム教授は、「知っている人に対する厚い信頼」と「知らない人に対する薄い信頼」を区別し「薄い信頼」の方がより協調行動を促進することに繋がると主張している。
….(中略)…
パットナムはイタリア全土の調査で、「薄い信頼」の北部と「厚い信頼」の南部を比較し、北部のほうが民主的な政府が機能しているとしている。
また、信頼について研究を続けるウスラナー教授は、その国際的調査において、「薄い信頼」と経済成長、情報化、イノベーション、国際化、市場開放性、汚職そして経済格差などとの関係を分析し、いずれも大きな相関があることを発表している。
—(以上、引用)—
「薄い信頼」が機能する社会が、ネットと結びつくことで、大きなイノベーションを創発したり、今まであり得なかった社会的規模の利他的行動を促したりすることが可能になります。
例えば、06/28の日本経済新聞の特集「ネットと文明 新しい現実(3)デジタル安全網―善意が静かに動き出す」では、ネット人口が100万人規模だった1995年に発生した阪神大震災と、8000万人規模になっていた2004年に発生した新潟地震を比較しています。
阪神大震災では情報不足から全国から届く救援物資が同じものばかりで善意が生きない例が相次いだのに対して、新潟地震では数日で被災地サイトが生まれ、ボランティアが足で集めた情報が全国に伝わり、支援物資のミスマッチも最小限にとどまりました。
このような活動も、パットナムが言う「薄い信頼」が機能している社会で、かつ、ネットがほぼ国民全員が使える程普及している環境だからこそ、可能なのではないかと思います。
幸い、現代の日本は両方の環境が整っている数少ない国です。
例えばブログでの情報発信等、我々一人一人の具体的な行動な行動で、よりよい社会を作っていきたいですね。
ブログでの使用言語の一位が日本語というのも、この観点で考えるとわかりやすいかもしれません。