総務省より2006年版情報通信白書が発行されました。今回はWeb 2.0も大きく取り上げられています。こちらからダウンロード可能です。
今回、特に興味深かったのは、
「企業のICT(注: Information & Communication Technology)化の効果については、情報システムが組織形態、業務プロセス、企業文化、賃金体系等の組織的資本の変革と結びつくことで、高い効果が生まれるものと考えられる」
と明記し、ユビキタス化の観点でその調査結果も一緒に掲載されている点です。
確かに、ITを導入するだけでは効果は得られません。IT活用を前提とした会社の仕組みを新たに作りつつ、ITを導入することが必要です。
例えば、非常に単純化した例ですが、今までお客様に手書きで申請書を記入いただいて、それを手作業で計算処理し、他部門がその結果を受けて外部に支払いを行っていた業務を、IT化するケースを考えてみましょう。
この場合、従来の業務を変えずに、お客様の手書き申請書をデータ入力しシステムで計算するだけでは、効果は非常に限定的です。データ入力エラー発生の可能性もありますし全体の処理時間もそれ程変わりませんし、逆に生産性が下がる可能性すらあります。お客様の申請をネット経由にし、外部支払いもネット経由にする等、ITを前提に業務を再設計すると、エラー発生率をほぼゼロに抑えて全体の処理時間も極めて短くし、生産性を大きく向上できます。つまり、IT導入と併せて仕組みも変革することで、大きな効果を得られます。
ちょっと脱線しましたが、網羅性という観点では、「情報通信白書」はきわめて優れた市場調査レポートだと思います。国全体の政策も反映されていますし、しかも無料でダウンロード可能です。おまけに英語版もあります。
マーケティング関係の方々にとっても、非常に参考になると思います。