前回、「優しい社会を実現する自販機」で書きましたように、近年、企業の社会的責任がますます問われています。
7月8日の日本経済新聞の土曜特集NIKKEIプラス1で、SRI投信について紹介されています。
SRI(社会的責任投資)とは、環境や消費者に優しく、企業の社会的責任(CSR)にも積極的な会社に投資することで、結果的に良い運用成績も期待できる、という考え方です。
記事で紹介されている通り、「CSRに積極的な企業は消費者からも信頼されるため、成長が継続し長い目で見ると株価も大きくなる可能性が大きい」という考え方が背景にあります。
かつては企業が公害を垂れ流す元凶と非難された時期もありましたが、時代は変わり、今や企業は社会全体をよりよくしていく責任と、それをビジネスとして両立していく能力が求められています。
また、これを実現している企業が社会や消費者から信頼されて支持を受けることで、ビジネスとして継続できる世の中に変わりつつあります。
マーケティングの役割は、お客様に対して企業や商品・サービスの価値を訴求し実現していくことです。マーケッターこそ、CSRをいかに実現していくのか考えることをが求められているのではないでしょうか?
過去に環境会計を学んでいた時期がありました。あの頃はCSRという言葉は一般的ではなく、新聞にもあまり登場していませんでしたが、いまやCSRは企業が取り組むべき重要課題の一つになりましたね。
環境会計を学んでいた身としては、CSRに取り組むことはいいのですが、環境保全コストや外部影響を会計に織り込む際のロジックは、色々と大変そうだなと感じています。
すいません、これは、一昔前の企業メセナとどう違うのでしょうか。全部とはいいませんが、結果としてあれはつぶれた物も多いですよね? この環境活動はどこまで永続的な物なのでしょうかね。また景気が悪くなるとみんな止めちゃうんでしょうか。
ゆきち様
CSRについては、日本総研が運営している以下のサイトをざっとご覧になると把握できます。
http://www.csrjapan.jp/index.html
どちらかと言うと、企業が行っているCSR活動を投資家の視点で”評価”し、”選択的に投資する”ことに眼目があります。これにより、投資家の間接的なガバナンスが期待できるのがCSRのいいところです。メセナの場合は、企業が自分ひとりで決めて自分だけで進めるため、ガバナンスが働きにくいところがありました。現在、取組が見えにくくなっているのも、そのへんが理由でしょう(継続するインセンティブが内部事情で変化する)。ただし、予算規模は縮小されたとしても、継続的にしっかりやっている企業はあると思います。
NAKAさん、
コメントありがとうございました。
おっしゃるように、環境会計の観点も重要ですね。
ちなみに、このような例もあるようです。
http://www-06.ibm.com/jp/company/environment/responsibility/2006/accounting.html
ゆきちさん、今泉さん、コメントありがとうございます。
私は、メセナはもともと企業の収益の中から捻出して社会貢献活動を行うものであったのに対して、CSRはそれ自身で収益と利益を稼ぐことでビジネス継続性維持を図り、企業の存在意義と社会貢献を両立していくもの、というように理解しています。(ただし、前者も後者にシフトしつつあると思いますが)
じゃあ、収益がなかったり、評価対象でなくなったら、社会的貢献もなくなってしまうのでしょうか。
このあたりは、古いデパートの美術部や企業系美術館の歴史などをさぐると面白いと思いますよ。
http://www.takashimaya.co.jp/corp/ci/hist/28/index01.html
http://www.shiseido.co.jp/s9903mem/html/indexm.htm
ゆきちさん、サイトのご紹介いただき、ありがとうございました。資生堂さんの活動は素晴らしいですね。実は、銀座の資生堂ギャラリーで写真の個展を行うのが私の夢です。(非常にチャレンジングな夢ですが)
>>じゃあ、収益がなかったり、評価対象でなくなったら、社会的貢献もなくなってしまうのでしょうか。
もし私が誤解を招く書き方をしていましたら、お詫びします。そのような浅いものではないと思います。
ちょっと青臭い言い方のようですが、「志と使命感を持っているか?」「現在の事業を革新し、新しい事業を創造できるか?」という点が問われるのではないかと思います。