写真の大敵がブレ、ボケであることは改めて申し上げるまでもありません。
その観点で申し上げると、ITmediaの「ブレさせん! ブレなどさせん! 写真の天敵「ブレ」を追放する」という記事はとても参考になります。
一つだけ補足させていただくと、ブレやピンボケを克服すると、現代のカメラとレンズはもの凄く素晴らしい画質になる、ということです。
30年前までは必ずしもそうではありませんでした。
30年前、レンズ設計でコンピュータはそれ程活用されていませんでした。従って、昔のレンズは数少ない珠玉のレンズがある一方で、性能の悪いレンズ(よく言えば、「味のあるレンズ」)も結構ありました。
例えば、20年以上前に廃刊になった毎日カメラでは、流通している多くの交換レンズの画質を比較するムック本を出していましたが、記事を一通り読んで、「高画質レンズは少ないなぁ」と実感したことをよく憶えています。
現代のレンズ設計ではコンピュータを使うのが当たり前になりました。このため、CAPAが毎年出版している「交換レンズ」シリーズでも分かるように、レンズの描写性能の平均点は昔からは信じられない位向上しました。(逆に、「最近のレンズは個性がなくなった」という批判もあったりします)
実は、我々はこのレンズの性能向上を十二分に活用していないのです。その二大原因がブレとボケです。
さて、ブレやボケを克服して、この素晴らしい性能をモノにする方法があります。
三脚を使って撮影するのですが、コツがあります。
まず、しっかりとしたブレない三脚を使うこと。
私は20年来ハスキーの三脚を使っています。この程度のスペックの三脚であれば、35mm一眼レフカメラに中望遠レンズを付けて長時間露光をしてもビクともしません。しかし、コンパクトカメラ専用の小さい三脚に一眼レフを付けても、まぁ、手持ち撮影よりはマシですが、必ずしもブレは防止できません。
次に、三脚を正しく使うことです。しっかりとした三脚を使っても、ネジが緩くてガタガタしていては意味がありません。締めるところは全てキッチリ締め、少々触っても動かないことを確認しましょう。
そして、ファインダー上でしっかりピントを合わせる。オートフォーカスの場合は、合焦をしっかり確認する。
その上で、撮影の際にはリモートレリーズを使って静かにシャッターを切り、カメラを動かさない。
高画質で記録するために、できればフィルムは低感度フィルムを、デジカメの場合は画質優先でISO100程度で撮影する。
これらを守ることで、驚くほどシャープで高画質な画像が得られます。
しかも、じっくり構図を考えるようになるので、写真の腕も上がる筈です。
デジカメでも銀塩フィルムカメラでも、この原理は全く同じです。むしろ銀塩フィルムの画質を凌駕し始めた1000万画素級の一眼デジカメでこそ、しっかり撮影する重要さはますます増しています。
実際、私が撮影を続けている"Tokyo Bay Area"という作品、写真展を行うと「中判カメラか、大判カメラで撮影されたのですか?」という質問をよくいただきます。実は35mmフィルムを使い、35mm一眼レフを三脚に付けて撮影しています。
是非、お試し下さいませ。