今朝(2007/3/16)の日本経済新聞で、「松坂を導いた"情報産業"」という特集があります。
松坂投手がレッドソックスに入団した際に代理人を務めたスコット・ボラス氏の特集ですが、オフィスの地下一階はコンピューターの要塞です。
大型コンピューターと直結した衛星放送受信機が40台以上並び、米国内で放映される野球の全試合やスポーツニュースを録画の上、顧客選手のプレーを編集して交渉材料にしたり、選手がケガをしていないか観察したり、選手にアドバイスしています。
さらに独自のトレーニング施設を持ち、コンディショニングスタッフまで抱えているとのこと。
また、データベースでは過去現在すべての野球選手と、マイナーも含む約150人の顧客選手の成績や年俸を比べられます。
記事では、「日本では力任せの金銭闘争が強調されがちな代理人だが、真の姿は理知的な情報サービス産業なのだ」と結んでいます。
タフな交渉力は、圧倒的な情報量とその分析力に基いているということですね。
興味深かったのは、次の2点です。
- 世の中にある既知の情報を編集していること。
ボラス社が集めているのは、テレビ(及び恐らく新聞や雑誌等のメディア)等の、既に皆が知っている情報です。これを丹念に体系立てて集めて、分析することで、球団との交渉材料にしています。
よく「秘密情報も90%まで公開情報の分析で読める」と言われていますが、ITを縦横に活用することでこれを実現しています。
- 選手に対して「ワンストップショップ」を提供していること。
球団を渡り歩くクライアントである選手は、コンディションをベストに維持することは自己責任になります。このため、トレーニング施設まで抱えることで、非常に幅広いニーズに応える体制を用意しています。この背景には、情報を体系的に整備していることがあるのでしょう。
まさに発想次第で、ITが様々な分野で活用できるという好事例ですね。