「何したいの」と聞かれて、答えられない中高年社員。どうする?


朝活永井塾で「マズロー」のお話しをしました。こんな内容でした。

【講義内容】
・「自己実現」は、人によって違う。天職を知りやり遂げるのも、自己実現の一つの形。
・自己実現を目指す人と、そんな人が集まる企業の相乗効果・好循環を、いかに生み出すかがカギ。
・「個人の目的=組織の目的」の状態になれば、あらゆる問題が目的達成の手段選びになる
・「パーパス経営」もこの流れで理解することが必要

そして質疑応答で、ある大企業で人事を担当する方からこんなご質問をいただきました。

【ご質問内容】
『パーパス経営の理解が深まりましたし、個人と企業の目的の一致が大事だということもよく分かりました。そこで中高年社員の変容についてご相談です。会社はパーパス経営の考え方になっているのですが、当社の中高年社員の多くは会社に入って20年間「上司に言われた通り仕事をする」という仕事スタイルが身についていて、「あなた、何したいの?」と質問しても、答えられる人がいない状態です。こんな人に気付かせるポイントはありますか?』

【私の回答】
これ、なかなか難しい状況ですよね。

私の経験では「自分は何をしたいのか、考えてみましょう」と聞かれても、答えられないビジネスパーソンは、実に多いのです。たとえばこのメールを見ているあなただったら、この質問にどのように答えるでしょうか?

特にご質問のような「言われた通りにやってきた」という中高年社員に上司が「あなたは何したいんですか?」と尋ねると、「あれ、自分、リストラ候補ですか?」と身構えちゃったりします。

「自分がやりたいこと」は、あくまで個人のことです。ですから会社から直接働きかけるのは、そもそも難しいのですよね。ご自身で気付くしかありません。

そこで会社にできることは、そのようなことを促す仕組みを作ることです。

ヒントは「人は場所が変わると、まったく変わることも多い」ということ。しおれていた植木も、置く場所を変えると見違えるように元気になったりしますよね。人も同じです。

そして、その人に合う環境は人それぞれです。転職して変わる人もいれば、別部門や別職種に変わった途端に見違えるような働きを見せる人もいます。

だから会社ができることは、まず社内で自由に異動したり、別職種(別プロフェッション)に変わりやすい環境を整えることだと思います。そしてできれば上司が介在しない形で、本人の意志で、自由に異動できることが望ましいと思います。

さらに社外で副業などの形で新しいことに挑戦するのをやりやすくするのも、一つの方法です。大企業にいる人材は、もともと能力が高い人が多いはず。社内に閉じこもって花開かなかった人も、社外の空気を吸って「自分のスキルが世の中で役立つ」と気づけば、花開くことも多いのです。

このような気づきの機会をできるだけ多く用意することが必要だと思います。

これらの施策で全員が100%変わることはありません。しかし変わる人は確実に増えます。確率戦です。全員は無理かもしれません。でも救われる人は増えていきます。

このような考え方で様々な施策を立てていくことで、徐々に会社の体質が変わり、社員も少しずつ変わっていくのではないかと思います。

 

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