売れるヒントは、そこにある


「売れるヒントが見つからない」
「ウチの強みを活かせないか」

…と悩む人、多いですよね。

ヒントは私たちのすぐ身近にあります。

アート引越センターの創業のきっかけも、身近な観察でした。今年9月、日本経済新聞「私の履歴書」で、アート引越センター創業者の寺田千代乃さんがその時のことを書いています。

1970年代前半、日本はオイルショックの不況の真っ直中でした。
当時寺尾さんの会社は、アルミ製の箱車でオムロンの精密機器輸送の下請けをしていましたが、仕事は減る一方でした。

ある日、家族で車に乗って走っていると、夕立が来ました。道に止まっていたトラックから運転手が降りて、急いでシートをかけています。荷台にあるのは引っ越し荷物のようで、少し濡れています。そこで気がつきました。

「ウチのトラックはアルミ箱車なので、荷物は濡れない。オムロンの仕事は平日限定。引っ越しは週末だから箱車は使える」

ちょうどその頃、新聞で「引っ越し貧乏」という見出しの記事がありました。大阪だけで引っ越しで100億円の出費があることがわかりました。住民基本台帳人口移動報告というデータで調べると、市町村をまたいで移動する人は年間800万人います。

実に多くの人が引っ越ししています。鉱脈を探り当てたのですね。

そこで新たに引っ越し事業を始めました。

当時はスマホがないので、引っ越ししたい人は電話帳で引っ越しを調べます。
そこで電話帳で最初に乗る名前を考えました。 50音順ではひらがなよりカタカナ、文字より「ー」(長音)が先に載ると分かりました。

そこで「アー」で始まる社名を考え、「アート引っ越しセンター」になりました。

その後、「荷造りご無用〜0123」のアート引越センターの躍進は、ご存じの通りです。

会社目線を一旦外して、消費者目線で日常を見てみると、消費者の「お困りごと」は意外と見つかるものです。

たとえばニューヨークのレストランでは屋外で食事が推奨されていますが、ニューヨークは極寒。夜に野外で食事なんてツライですよね。そこである日本食レストランでは、屋外にコタツを並べています。これがニューヨーカーには大人気で予約待ちだそうです。

いま、コロナ禍で「お困りごと」が急増しています。そんな時こそ、自分たちの強みを活かして解決策を考え、新規事業を立ち上げるチャンスなのです。


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