「分らないのに質問しないのは、実はとっても失礼」 …..『グローバル人材に求められるコミュニケーションスキル』(大塚雅文さん) 第10回朝カフェ次世代研究会より #asacafestudy


昨日の朝、朝カフェ次世代研究会『グローバル人材に求められるコミュニケーションスキル』を行いました。

講師は、グローバルコミュニケーションを教える会社「まなび株式会社」を経営しておられる大塚雅文さん

朝カフェ次世代研究会も、今回でついに10回目なんですよね。

お金も何もない中で、このようなハイクオリティの講演会を参加費無償で継続できているのも、皆様のご協力の賜物です。ありがたいことですね。

 

冒頭、大塚さんからは、ここ数年でグローバルコミュニケーションの手段としての英語のあり方が急速に変わってきたとの話がありました。

 

今までは、私達は英語のネイティブに対して話すために英語を勉強していました。

そこでTOIEC 730点とか900点とかを狙っていました。

私などはまさにその通りで、26年前の新入社員の時のTOIECは475点で上司から「これでは仕事をさせられない。早く730点取れ!」と厳命されました。→私のこのあたりの経緯はこちら

当時の仕事相手は、米国人と、中国・台湾・韓国・タイ等のアジア人。アジア人とのコミュニケーションは、非母国語同士ということで、割とやりやすかったのを憶えています。

 

一方で、世の中ではリーマンショック以降、新興国が消費主体として台頭し、英語を母国語としない人達とグローバルコミュニケーションをする場面が圧倒的に増えました。

その多くの人達は、TOEICで言えば500-600点クラス。

ここで使われる英語は、Engishではなく、Glob-ish。(Global English)

きれいに正確な英語で話すのではなく、あくまで意思疎通の手段としての英語です。

ですので、難しい単語は不要。

語彙も1,500語で十分。TOEIC 500点クラスです。

分らない英語は、その場で聞けばよい、という発想です。

 

ここで、大塚さんは2つの録音を聞かせて下さいました。

両方とも、英語がネイティブの人が、同じ内容を、英語を母国語としない人に説明しています。

前者は、聴く側の非母国語の人は、説明にうんうん頷いています。ネイティブの人は一方的に話していますが、何となくやりにくそう。最後のネイティブの質問に対して、「ごめんなさい。実はあなたが何を言っているのか理解できていません」….微妙な空気が流れます。

後者は、聴く側の非母国語の人は、説明で分らない単語が出てくると即座に質問します。ネイティブの人は丁寧に答えます。最後の質問になると、ちゃんと自分なりの考えを述べます。

前者は日本人に多いパターンです。

いやぁ、身に覚えがありますねぇ。私も。

日本人は、話の内容の理解ではなく、相手が気持ちよく話すことを優先します。

相手の話を遮るのはとても失礼なことと考え勝ちです。

だから、分らないことを聞き返すことはしません。

しかし、グローバルコミュニケーションでは、理解していないのに相手に話をさせる方が、はるかに失礼なのです。

考えてみると当然で、相手は一生懸命話しているのです。

その努力に対して、実はこちらが理解していない、というのは、逆にとんでもなく失礼ですよね。

 

今まで私達日本人が生まれ育った環境は、「分らなかったら調べろ」「考えてから話せ」でした。

しかしグローバルコミュニェーションでは、「分らなかったら聞け」「聞きながら考えろ」です。

これは、実際に海外の人達と話していると、痛感しますね。

考えてみると、グローバルビジネスの基本も、まさにこの通りです。

多くの人達が、自分の経験を持ち寄って、話し合い、誰もが参加して利益を得るような形でグローバルスタンダードを決める。

そして、この共通ルールの上で、自分の強みが出せるように、フェアな競争をしていく。

日本人がなかなかグローバルコミュニケーションできないのも、グローバルスタンダードに基づいたグローバルビジネスで遅れを取ってしまうのも、同じ文化的背景による理由なのだと感じました。

でも、日本人が得意とする相手への思いやりがあれば、ちょっとした発想の転換と気付きで、たとえグローバルコミュニケーションであっても、相手とコミュニケーションは出来る筈なのですよね。

 

2年ほど前に、当ブログで「日本と欧米コミュニケーションの違いは、"Good question"と言えるかどうか 」というエントリーを書きました。

グローバルコミュニケーションでも、この弁証法的な考え方が背景にあるように思います。

 

ということで、今回も大変勉強になる研究会でした。

大塚さん、ありがとうございました。

今回も講演の様子をTwitterで中継したログをまとめました。ご参考になれば幸いです。

いつも通勤中にTwitterのTLを読みながら、参加して下さっている方も多いようですね。

 


 

朝カフェ次世代研究会、10月13日に行なう第11回目は、 私・永井孝尚の「プレゼンの心得」です。

10月6日頃にご案内します。

引き続き、よろしくお願いいたします。

(9/23 9:00AM…タイトルを修正)

 

「分らないのに質問しないのは、実はとっても失礼」 …..『グローバル人材に求められるコミュニケーションスキル』(大塚雅文さん) 第10回朝カフェ次世代研究会より #asacafestudy」への3件のフィードバック

  1. 永井さん
    先日はありがとうございました!またTwitterをまとめていただき、ありがとうございます。正直、自分が話をしている間、あんなに活発に裏で話し合いが行われていたとはびっくりしました。
    坂元社長とも話していたのですが、プレゼンは、相手を飽きさせない意味でも、絶対に相手の顔を下げさせてはならないと常々思っており、脳はマルチタスク出来ない(スライドを読みながら話を聞くという意味で)ので「ツイートされたら負け」と思っていましたが、後で読み返してみて、強く伝わった箇所がよく見えて、考え方が変わりました。
    逆に非常に勉強になりました。次回朝カフェ、永井さんの回、楽しみにしています。ただ私にはまだツイートしながら話に集中するスキルがないと思われ、もっぱら話に集中し、あとで感想をツイートすることになりそうです(笑)。

  2. 大塚さん、
    素晴らしいプレゼン、ありがとうございました。
    大木さんも書かれていましたが、とても自然で、お話しに引き込まれました。Twitterでのリツイートも多かったですね。
    次回の私のプレゼン、お役に立てるような内容になるようにがんばります。

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