「理系好きだけど、文系卒の方が給料が高そうだから、大学は文系に行こう」→これ、間違いです。理系好きのための理系のススメ


9月20日の日本経済新聞に、「理系卒、職業選択肢広く、年収実は文系より高く」という論文が掲載されています。

京都大学経済研究所の西村和雄特任教授の調査です。

一般に、文系の方が給料が高いと言われています。

しかし、本論文の調査によると、実際には文系学部出身者は平均年収583万円に対し、理系は681万円。

理系が文系より約100万円も高く、かつ25歳から60歳までの各年代すべてで、理系の年収が高かったとのことです。(2008年6月の調査、1632名)

この調査結果について、論文では以下のように考察しています。

—(以下、引用)—

 この結果をどう説明すればいいのだろうか。まず、理系が文転(文系への転向)することはあっても、文系が理転することはまれなことからも分かるように、理系の方が職業の選択肢が広い。

—(以上、引用)—-

私、ブログではマーケティングの話ばかり書いているので、商学部出身と思われる方もおられるかもしれません。

実は私、理系です。

マーケティングはまだ12年目。

まさに「文転」組です。

小学生の頃は理科と算数の時間が大好きでした。

大学は文系に進むことは全く考えず、好きな理数系の勉強ができるとばかり、工学部に進みました。(…結果的には、あまり勉強をせず、写真ばかり撮っておりましたが..)

そのような理系の私ですが、マーケティングに異動するのはそれほど難しくはありませんでした。

今からふり返って考えてみると、理系のバックグラウンドがあったため、理論立ててビジネスのことを考えられるマーケティングには、スムーズに入れたようにも思います。

 

—(以下、引用)—

 しかも、理系は、就職に有利である。

 厚生労働省と文部科学省が5月に発表した今年3月時点の大学卒業者の就職状況によると、文系が91.0%の就職率に対し、理系が95.2%だった。さらに就職が有利ということは、再就職も有利ということになろう。2000年度の文系調査でも、転職後に収入が上がった回答者の割合は、数学受験者が未受験者を上回っていた。

—(以上、引用)—-

二十数年前の話ですが、確かに私が就職する時も、同じ工学部の同級生はほぼ全員就職が早く決まったのに対して、同じ大学の文系の同級生は就職が決まるのに時間がかかりました。

この傾向は、今でも同じなのですね。

 

—(以下、引用)—

 日本は科学技術立国を標榜(ひょうぼう)しているのに、若者の理工系離れは深刻である。「理系学部は勉強が大変なのに、待遇は文系より悪い」という“定説”が広まっていることが、その一因とされるが、少なくともそれは正しくない。

 勉強すれば、それなりの見返りはある。次の世代を背負う中・高校生には、文系・理系を問わず幅広く勉強してほしい。

—(以上、引用)—-

「だから理系出身者の方が優れている」というのは、本エントリーの主旨ではありません。実際、文系でも勉強している人は沢山おられますし、すばらしい方も多くおられます。

 

一方で、大学で勉強に使う時間は、確かに理系の方が一般的に長いと思います。

実験は長時間かかりますし、積み重ねも必要です。

しかし、もし「それだけ勉強しているのに、理系の方が待遇が悪いのは納得できない」と思うとしたら、それは都市伝説の類。

事実は異なることが、この調査からも分ります。

 

もし理系の科目が好きならば、迷わず、理系で好きな勉強をする。

 

当り前の結論ですが、これが一番よいのではないでしょうか?

 

「理系好きだけど、文系卒の方が給料が高そうだから、大学は文系に行こう」→これ、間違いです。理系好きのための理系のススメ」への5件のフィードバック

  1. どうなんでしょうね。
    自分はバリバリの文系出身(語学系)ですが、今は理系の人たちに囲まれて仕事をし、収入も同等です(SEなので理系職と呼べるか分かりませんが)
    結局、優秀な人材はいつでもどちらにでも転べる、ということなんじゃないかという気がしてます。
    ただ、理系のほうが論理的に考え
    ることが好きな人が多く集まるん
    だとしたら、結果的に優秀な人材に育つ割合は高いかもしれませんね。

  2. hiroさん、
    コメントをくださり、ありがとうございました。
     
    >> 結局、優秀な人材はいつでもどちらにでも転べる、ということなんじゃないかという気がしてます。
     
    まったくおっしゃる通りだと思います。
    この調査はあくまで全体の傾向を調べたものですので。

  3. 給料がいいから理系とか、就職多いから理系とか、つまんないです。。。最近は、理系文系かかわらず専門性ということが関心をもたれなくなってきているのかもと思いました。
    と思っていたら、wikipediaに「理科離れ」なんて項目がありました。おもしろかったです。
    私は、「いつでもどちらにでも転べる」優秀な人より、「この仕事以外は全然興味なし、自分の分野はとことんこだわる」みたいな優秀な人と仕事するのが好きです。そういう、職人気質?クラフトマンシップ志向?な人と仕事してると楽しいです。

  4. 岡本さん、
    コメントをくださり、ありがとうございました。
    「好きなことをとことんやる」
    単純なことですが、これが一番ですよね。

  5. 理系の科目というのは、当然「理科(物理・化学・生物・地学)」のことですよね?
    数学は、経済学部でも社会学部でも法学部でも扱いますから、理系科目とは思えません。
    文系科目というのは「社会科(歴史・地理・公民)」ですよね?
    国語は、理学部でも工学部でも薬学部でも農学部でも扱うはずですから、文系科目とは思えません。
    英語・数学・国語は、文理共通の基礎教養とした上で
    文系:社会科、理系:理科
    を選択するようにしなければいけませんね。
    当然のことだと思います。

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