1997年5月11日、IBMが開発したコンピューター「ディープブルー」が、当時のチェス世界王者カスパロフ氏と対戦。6連戦で2勝1敗3引き分けと勝ち越しました。
ディープブルーは1秒間に約2億通りを導きだしました。
ここで使われたハードウェアは、IBM RS/6000 SP2というコンピュータ(120MHz 30ノード)をベースに、チェス専用チップを480個搭載した専用コンピュータ。
世界でただ1台のものでした。
このディープブルー開発で得られた基礎技術は、その後、様々なプロジェクトで利用されました。
その14年後、2011年2月14日から16日にかけて、IBMが開発したコンピュータ「ワトソン」が、今度は全米で25年間以上続いている人気番組Jeopardy!で、クイズ王と対戦、勝利しました。
このコンピュータ「ワトソン」は自然言語で書かれた情報の断片を分析し、短時間で最も適した解答を導き出す質問応答システムです。
面白いことに、ワトソンのハードウェア自体は、IBMは顧客に販売しているIBM Power 750サーバー(Power7プロセッサー 3.55GHz)という、一般に販売されている汎用コンピュータです。
既に世界で数千以上の企業で導入されています。
ワトソンの場合、このマシンのスペックは、総メモリー容量15TB、総プロセッサー・コア数は2,880個、80 TFLOPS。
この高速・並列処理能力を活かして、数千のタスクを各プロセッサーコアで同時に走らせて、3秒以内に回答を得ているのです。
この汎用コンピュータの上で、今回開発した質問応答システムを動かしているのですね。
この質問応答システムは、大量データリアルタイム処理技術、分析技術、自然言語処理技術等のかたまりです。
なぜ汎用コンピュータを使用したのかというと、IBMは当初からワトソンで培った質問応答システムの成果を、医療や金融サービスといった分野で適用できるように考えていためなのです。
ワトソンの詳細は、下記ビデオでご覧になれます。