1997年にチェス世界王者を倒したのは世界でただ1台の専用コンピュータ。2011年に全米クイズ王を倒したのは既に数千の企業で使用されている汎用コンピュータ


1997年5月11日、IBMが開発したコンピューター「ディープブルー」が、当時のチェス世界王者カスパロフ氏と対戦。6連戦で2勝1敗3引き分けと勝ち越しました。

ディープブルーは1秒間に約2億通りを導きだしました。

ここで使われたハードウェアは、IBM RS/6000 SP2というコンピュータ(120MHz 30ノード)をベースに、チェス専用チップを480個搭載した専用コンピュータ。

世界でただ1台のものでした。

このディープブルー開発で得られた基礎技術は、その後、様々なプロジェクトで利用されました。

 

その14年後、2011年2月14日から16日にかけて、IBMが開発したコンピュータ「ワトソン」が、今度は全米で25年間以上続いている人気番組Jeopardy!で、クイズ王と対戦、勝利しました。

このコンピュータ「ワトソン」は自然言語で書かれた情報の断片を分析し、短時間で最も適した解答を導き出す質問応答システムです。

面白いことに、ワトソンのハードウェア自体は、IBMは顧客に販売しているIBM Power 750サーバー(Power7プロセッサー 3.55GHz)という、一般に販売されている汎用コンピュータです。

既に世界で数千以上の企業で導入されています。

ワトソンの場合、このマシンのスペックは、総メモリー容量15TB、総プロセッサー・コア数は2,880個、80 TFLOPS。

この高速・並列処理能力を活かして、数千のタスクを各プロセッサーコアで同時に走らせて、3秒以内に回答を得ているのです。

この汎用コンピュータの上で、今回開発した質問応答システムを動かしているのですね。

この質問応答システムは、大量データリアルタイム処理技術、分析技術、自然言語処理技術等のかたまりです。

なぜ汎用コンピュータを使用したのかというと、IBMは当初からワトソンで培った質問応答システムの成果を、医療や金融サービスといった分野で適用できるように考えていためなのです。

ワトソンの詳細は、下記ビデオでご覧になれます。