海外の識者は、今の日本をこう見ている(2)


英エコノミスト誌が、"JAPAiN"というタイトルの特集を掲載しています。Japanとpain(苦痛)を組合わせた造語です。

こちらに記事のサマリー(英語)がありますが、3月12日の日本経済新聞では、この記事のタイトルを「苦痛に満ちた日本」と訳して、概略を紹介しています。

それぞれの指摘は以前から言われてきたことですが、全体をまとめて構成して議論しており、耳が痛い指摘も多く、一読の価値ありです。

以下、要約して抜粋します。

—(以下、抜粋)—-

・日本は世界第二の経済大国にも関わらず問題の根本的な解決に取り組んでいない。

・日本経済の停滞は政治家のせいである。

・福田首相は求心力に乏しい。民主党はいまや成長を目指す経済改革どころか、あらゆる政策協議を滞らせる力を持つに至った。

・日本企業は10年前と比べてはるかに健全化し、債務は圧縮され事業の選択と集中も進んだが、生産性はきわめて低い。経営者が株主に対して説明責任をほとんど負わない経営環境が過剰投資を生んだのかもしれない。日本の投資に対するリターンは米国の半分。

・個人消費が伸びない原因も企業にある。記録的な利益を計上しながら、賃上げの形で払い出さずに現金をため込んでいる。雇用は増えても賃金水準は上がっていない。

・改革を断念した日本は低成長しか期待できない。この責任は、能力や先見性に欠ける政治指導者と政治の混迷にある。

・第一の責任者は福田首相。経済改革に関心があったとは思えない。愛国心教育などのお気に入りの国家主義的な取り組みに邁進した。

・第二の責任者は自民党内で隠然たる影響力を誇る旧世代の大物たち。政局が混乱すると福田氏を担ぎ出した。小泉・安部時代は首相官邸で下された決定権が、派閥の長老達の手に戻った。旧世代はクーデターに成功し、構造改革は滞り、貿易障壁撤廃に向けた交渉にもブレーキがかかり、財政均衡を目指す税制改革も先送りされた。

・第三の責任者は民主党の小沢代表。専横なワンマンの一面を持ち、僚友に相談せず取引をする傾向があり、透明性と説明責任を掲げる党首としては好ましくない。農村の比重が高い参院選では農家の味方を標榜し、昨年11月の大連立騒動では打倒自民の信念を翻した。

・さらに非難されるべきは参院と衆院を別々の党が支配する事態を想定していなかった憲法。さらに言えば、国家運営に関する選択肢を個人や一族郎党の利益を実現する手段として政治をもてあそぶ風土こそ問題。

・最後に、有権者も責任の一端を負うべきである。総選挙は、少なくとも政治家の選択基準を高めるチャンスをくれるはずだ。

—(以上、抜粋)—-

一ヵ月半前に「海外の識者は、今の日本をこう見ている」というエントリーを書きましたが、外部からの見方は、我々が気が付かない点を指摘してくれることも多く、参考になります。

現在の日本の問題は政治の問題という指摘ですが、最後に書かれているように、現在の事態を招いたのは誰のせいでもなく、現在のこの政治家達を選んでしまった我々一人一人の責任なのかもしれません。

幸い、民主主義国家である日本は、国民がこれらの政治家を選んだり、落選させたりすることが出来ます。

次回の総選挙は、全日本国民が真剣に為政者がどうあるべきかを考える選挙になることを願いたいですね。