昨日の朝カフェ次世代研究会で、「TOEIC 900点でも欧米人とコミュニケーションできない理由」と題して講演をさせていただきました。
私、新卒で外資系企業に入社し、もう30年近く勤務しております。
当初は英語はなかなかできませんでした。こちらに書いた通り、入社直後のTOEICのスコアは475点。そこで発奮して2年間で795点まで上げました。その後も継続して英語力の向上に努めました。
しかしグローバルコミュニケーションがなかなかできませんでした。やはりなかなか英語に慣れなかったことも理由の一つではありましたが、それだけではありませんでした。周りで例えばTOEIC 900点あるような英語力がある人でも、必ずしもコミュニケーションできるとは限りませんでした。
一方で、TOEICのスコアが必ずしも高くなく、英語もジャパニーズイングリッシュなのに、なぜか米国人を相手に議論で圧倒する人もいました。
最近はだいぶ慣れてきましたし、なぜこのようなことが起こるのかも分かってきました。今回お話ししたのは、その部分です。
今回はグローバルコミュニケーションのうち、「議論の方法論」と「交渉の方法論」をご紹介しました。
言うまでもなく、日本と欧米とでは議論の進め方は違います。
日本は空気で進む面が結構強いのに対し、欧米ではロジックを戦わせます。「正反合」、つまりある意見に対して反対意見を述べて、議論を戦わせて三つ目の新しい意見を導きだし、新しい価値を生む、という方法です。
日本人はなかなかこれに慣れません。そして会議で発言しない人は評価されません。理由は、議論に参加しない人は「新しい価値を生もうとする意欲がない人」というレッテルを貼られるからです。逆に偉い人の会議でも、同席ができるということは発言は許されているのです。(ただし偉い人がその発言であなたをそのまま評価する、ということは覚えておく必要があるかもしれません)
もう一つの交渉の方法。
日本人の「まぁ、いろいろあるんですよ」とか「そこのところを、なんとかお願い」といったような言葉に該当する英語はありません。これが許されるのは同じ価値観を持つ社会の中だけ。実は高度なコミュニケーションなのですよね。これを「ハイコンテキストコミュニケーション」と呼んだします。グローバルでは通じないのです。
しかし欧米人から同意を得るのは、実は意外にシンプルです。
前提に同意でき、議論のロジックに同意できれば、結論に同意せざるをえないのです。ロジックで動いているからです。詳しくは、以前こちらのブログで書いた内容です。
結局、価値観が異なる相手に「文学」で議論しても通じません。
英語に加えて、ロジックと数字が世界共通言語だ、ということですね。逆にここが強いビジネスパーソンは、英語力が少々なくても、欧米人相手にタフな議論・交渉ができます。
今回は1時間いただいた時間のうち、プレゼンは30分で、残りは質疑応答に充てさせていただきました。おかげさまで色々な方々のご意見をお聞きすることができました。このようなフィードバックをいただけるのは、ありがたいですね。
また既に柳下さんと坂本さんがブログに書いてくださっています。(ありがとうございます!)ご紹介させていただきます。
■柳下さん:グローバル・コミュニケーションで失敗しない方法とは #asacafestudy
■坂本さん:日本人は空気に向かって議論している #asacafestudy
Twitterでも皆様からコメントをいただきました。
次回12/19の朝カフェは、村田早耶香さんの「カンボジアの子ども達の笑顔のために~カンブリア宮殿、NHKで話題の社会起業家が語る~ 」です。
今回、NPO代表の方にお話しいただくのは朝カフェでは初めてです。とても楽しみです。