色々な見方を受け容れることで、視野が広がります。
日本悲観論が主流を占める中、「日本最強」という考え方を知るのも、とても意味あることだと思います。
そう考えて、ぐっちーさん著「なぜ日本経済は世界最強と言われるのか」を読みました。
グローバルな金融の世界で30年間仕事をされてきたぐっちーさん(山口正洋さん)のお話しは、とても説得力があります。引き込まれて夢中に読み続けた本に出会ったのは、最近では久しぶりでした。
本書の中で、中国について語っている部分があります。
最近の私の問題意識に対して、明確な答えが書かれていたので、一部をご紹介します。
まず、日本で90年代初頭からモノが売れなくなった状況を分析されています。
—(以下、p.192-193から引用)—
…養われる人>養う人。まさに90年代初頭から日本でモノが売れなくなった元凶がこの生産人口の頭打ちおよび減少で、自動車、家電、百貨店などの小売、少年ジャンプに至るまで、ありとあらゆるものがどんな努力をしてもどんどん売上を減らしました。その20年間の日本の姿がそこにあるわけです。
……
生産人口の変化には意外と抗えないのが真実で、それでも日本は世界最強の競争力を有する製品輸出と、さんざん貯め込んだ外貨による経常収支の黒字で食ってきたために、なんとかなりました。
—(以上、引用)—-
つまりマクロで見ると、生産人口減少により国内市場は縮小し続けた一方で、海外で稼いだ、ということですね。
一方で中国でも高齢化が急速に進んでいます。そのことについて以下のように書かれています。
—(以下、p.193-194から引用)—
では中国は?
まず高齢化の問題があります。国連の統計(かなり保守的)でも中国の高齢化は日本よりもスピードが速く、異本と同じような消費停滞がもう2−3年後には起こり得ます。
….
日本は所謂「シルバーマーケット」が富裕化しており内需をなんとか補完していますが、中国ではその前に高齢化してしまうので、ある日突然、消費が急激にダウンするはずです。中国は社会保障などについては全く手つかずで、年金のない人がたくさんいますので、日本のように高齢者が預貯金の60%を握って巣鴨に出かけるなどという優雅なこともないでしょう。「転がる坂」は日本よりも急激かもしれませんよ。
既に1億6000万人いるといわれている60歳以上の高齢者を誰が養うのでしょうか?
これら人口動態から見ると中国経済のピークアウトは意外と早く、私は早ければ来年2013年と予測しています。
—(以上、引用)—-
中国では年金がない人が多く日本のようなシルバーマーケットがない、という点は大きな違いです。
未来を確実に予測できる数少ない指標の一つが、人口動態です。また中国経済の今後がどうなるのかを予測することは、今やビジネスにとって非常に重要です。
改めて新しい視点をいただいた本でした。