「バリュープロポジション」を英語で書くと”Value Proposition”。
直訳だと、「価値訴求」とか「価値提案」といった言葉になります。ちょっとわかりにくいですね。
そこで私はお客様にはわかりやすく「お客様が買う理由」と言い換えて、お話ししています。
私がはじめてこの「バリュープロポジション」という考え方に出会ったのは、15年前の2000年。IBMで戦略マーケティングマネージャーとして事業戦略を担当し始めた時でした。
IBM米国本社の戦略部門より「バリュープロポジション」という言葉を初めて聞かされました。
「『バリュープロポジション』って、何だろう?」というのが、その時の自分の反応。意味がよくわかりませんでした。
しかしその後、戦略策定業務を通じてこのバリュープロポジションを徹底的に考えるようになりました。そして、「自社だけが提供でき、他社が提供できない、お客様が求める価値のこと。つまり『お客様が買う理由』のことなのだ」ということが、ストンとハラに落ちて理解できました。
その後数多くの事業で、バリュープロポジション開発を通して戦略を策定し、戦略を実践してきました。
たとえば2002年にCRMソリューションのマーケティング戦略立案・実施を担当した際、「IBMしか提供できない、お客様が必要とするCRMソリューションの価値って何だろう?」と考えた末、バリュープロポジションに基づいたマーケティング戦略立案と実践を行いました。チーム一丸となってバリュープロポジション強化を徹底し、日本市場シェア1位と市場認知度1位獲得に貢献しました。
「強いバリュープロポジションは、事業を大きく差別化させ、成果を生み出す」 ということを、身をもって学びました。
この自分自身の体験で、「バリュープロポジションという考え方は、同質の競争で疲弊している日本企業にこそ、まさに必要な考え方なのではないか」と考えるようになりました。
実は世の中にブログや著書などで積極的に情報発信を始めたのは、この頃からです。
とは言え普通の会社員なので、出版社に知り合いはいません。日本IBM在職中の2008年に上梓した初めての著書は「戦略プロフェッショナルの心得」という自費出版の本。本書で「バリュープロポジション」の考え方を紹介しました。
その後、2011年3月に再び自費出版で「バリュープロポジション戦略50の作法」を出版。
さらに同年11月には物語形式で「100円のコーラを1000円で売る方法」でバリュープロポジションの考え方を紹介しました。世の中に「バリュープロポジション」の考え方が広まるのに、少しお役に立てたのではないかと思います。
さらに2013年に日本IBMを退職し独立してからは、講演や研修活動でも、「バリュープロポジション」の考え方を広めています。
より多くの企業が、「バリュープロポジション」=「お客様が買う理由」を考え抜くようになれば、日本企業はもっと元気になる筈です。
自称「バリュープロポジションの伝道師」として、少しでもお手伝いをしていきたいと考えています。