なぜ「お客様が買う理由」(バリュープロポジション)を作ろうとしても、失敗するのか?


「お客様が買う理由」(=バリュープロポジション)は、仮説として徹底的に考えた上で、リアルなお客様に検証することが必要です。

その方法論は、先日のブログで紹介したり、講演などでも紹介している通り、ごく当たり前でオーソドックスなことです。

 

しかし世の中を見ると、失敗に終わるケースも少なくありません。それは「落とし穴」があるからです。

実は15年前に「バリュープロポジション」という考え方を知った私自身、最初の2年間は「バリュープロポジション」の概念をうまく使いこなせませんでした。3年目にやっと掴むことができました。

その後十数年間、私は様々なプロジェクトに参画し、リーダーとしてプロジェクトの中でバリュープロポジション策定を行ったり、戦略アドバイザーとして策定のご支援をしてきました。

 

私の経験を整理して振り返ると、下記の落とし穴があります。

□ ブレインストーミングに多くの時間を浪費してしまう。頭で考えるても答えは出ない。リアルな顧客の実態を知ることに時間を使うべき。

□ 思い込みで「課題」を作ってしまう。思い込みはあらゆる資源を浪費する。

□ 最終顧客(エンドユーザー)ではなく、普段会っている取引先の意見しか聞けない。そして顧客ニーズから乖離してしまう。本来、最重要は、最終顧客である。

□ 顧客の実態がわからないので、特定の課題に絞り込めない。結局、総花的な製品を作ることになり差別化できない。

□ あるいは十分な顧客ニーズの裏付けを持たずに、いきなり差別化しようとして的外れの尖った製品を作ってしまう。一方で顧客ニーズの裏付けがないので中途半端な妥協をし、失敗する。

□ 「ちょっとした差」程度の差別化しかできていないので、すぐにライバルに追いつかれる。強みの見極めが不十分だと弱い差別化しかできない。

□ バリュープロポジションを検証する際、最初の数名の顧客に「興味ない」と言われ、そこで断念してしまう。実際には、10名中9名の顧客は興味がないのが現実。その中で数少ない「興味ある」顧客を見つけるのがカギ。

□ 「課題」でなく、先に「解決策」を作り顧客に検証してしまう。結局、製品中心の発想から抜け出せない。最初に検証すべきは「課題」。「解決策」は「課題」を検証した後に考えるべきである。

□ 「製品開発前に顧客に商品のことは話せない」という強い思い込みがあり、リアルな顧客に検証しない。

□ 現場が試行錯誤しながら仮説検証して失敗を通じ学びを得るのには時間がかかる。現場が着実に学び成長している一方、この「学びの時間」をマネジメントが待てない。そして今度は別の方法で新製品開発の試みを始めてしまう。継続できないので組織として仮説検証思考が定着しない。

□ トップダウン思考から抜け出せない。この方法論のベースになるのは、「ニーズや課題は顧客の頭に、解決策は社員の頭に分散されている」という考え方。仮説検証は、学びを通じこれらの知識を集めるため。社員の自発性・チャレンジ精神を尊重することが重要である。社員が現場から学び続けている状況では、トップはアドバイスに徹することが求められる

 

上記の落とし穴のうち一つでも当てはまると、うまくいきません。

しかし落とし穴にはまっている当事者は、なかなか気がつかないのが現実。

 

私は経営者や事業責任者から、次のようなお悩みをよくお聞きします。

「新製品開発の失敗が多い」

「『いい製品を作れば売れる』という考え方から、なかなか抜けられない」

「『顧客中心主義』になりたいのだけれども、どうしても『顧客絶対主義』の考え方から脱却できない」

「新事業(製品、販売チャネル、顧客開拓)に、社員がなかなか自らチャレンジしようとしない」

これらは、先の落とし穴に嵌まっている可能性が多いというのが、私の実感です。

 

一つの解決策は、バリュープロポジション策定実績が豊富な経験者から、3ヶ月程度の期間、隔週程度の頻度で集中してガイドを受けつつ、新製品や新事業開発プロジェクト、あるいは事業変革プロジェクトを実施し、実業務を通じて学ぶことです。

社員が身を以て体験を通じて学んだことが、企業の力になるのです。

 

そこで弊社では、このようなことでお悩みの企業様へ、新事業戦略コンサルティングをご提供しています。

ご興味がある方は、こちらにより詳しい概要がまとまっていますので、ご一読を。